近年ユニバーサルデザインという言葉をよく聞くようになりました。
ユニバーサルデザインとは、障害の有無や年齢、性別、人種などにかかわらず、たくさんの人々が利用しやすいように製品やサービス、環境をデザインする考え方です。
1980年代に登場した言葉ですが、さまざまな環境や製品にこの考え方が応用されています。
中でも身近なユニバーサルデザインが活用されているのが文房具。今回はユニバーサルデザインの文房具をご紹介します。
インテリアや家具、建築の分類で「ミッドセンチュリー」という言葉があります。
ミッドセンチュリーとは「世紀の半ば」を意味する言葉で、インテリアの領域では主に1940~1960年代アメリカを中心としたインダストリアル(=産業)デザイン家具や、そのテイストを引き継ぐものを指します。
ミッドセンチュリーデザインはアメリカだけでなくヨーロッパや北欧、日本でもうまれ、家具の種類も多様ですが、今回はその中でもインテリアの要のソファーにフォーカスを当ててご紹介します。
ミッドセンチュリーデザインの特徴として、戦後の開放感ある時代を体現するようなポップなカラーや曲線を多用したデザインなどが挙げられます。
加工技術が発達する以前の家具は木製で直線的なデザインがほとんどでしたが、戦時中に軍需産業が生み出したプライウッド(成型積層合板)やFRP(ガラス繊維強化プラスチック)などの新しい技術を、有名なイームズ夫妻、エーロ・サーリネン、ジョージ・ネルソンを始めとするデザイナーが家具に応用しました。
それらの新しい家具が、戦後の人口増加に伴い、ニーズの高まったアメリカ国内で広く受け入れられたのです。
ミッドセンチュリー期のデザインは、新しい技術が開発された事でより自由な創造が可能になったデザイナーによって作り上げられました。
ミッドセンチュリーのインテリアは、明るく開放感があるのが特徴的です。
ソファーなら、真っ赤なファブリックを使った円状のクッションを組み合わせたネルソンの「マシュマロソファ」や、プライウッドにレザーを組み合わせたイームズの「ラウンジチェア」は特に有名。
特徴的な家具を組み合わせ、開放感のある雰囲気を作り上げるのがミッドセンチュリーインテリアの特徴です。
ここからは、ミッドセンチュリー期のおしゃれなソファーたちから、おすすめ作品を紹介していきます。
こちらはアメリカミッドセンチュリー期の名作である、ネルソンの「マシュマロソファ」です。直径約25cmの「マシュマロ」クッションが18個並ぶ様子は、お部屋の雰囲気を一気に楽しくしてくれます。
写真は黒のレザータイプですが、クッションの張地は多様なファブリックやレザーから選択可能なので明るい色のファブリックにすれば、よりポップな印象にできますね。
1956年にデザインされたこちらの作品は機能的にも優れており、面白い見た目とは裏腹に非常に座り心地の良いデザインです。
クッションは簡単にフレームから取り外すことができるので痛みやすい部分を定期的に交換すれば長期間使用しても劣化の進行を防ぐことができます。
出典:vanilla
カリモクは戦後日本で生まれた木材工業の会社であり、まさにミッドセンチュリー期の60年代に家具メーカーとしての歴史をスタートさせたメーカーです。
こちらの1962年にデザインされた「Kチェア」は変わることなく愛され続ける定番商品です。
メーカーは知らないが見たことあるという人は多いのではないでしょうか。
レザーの重厚感とアームのなめらかなデザインは存在感があり、このソファーを起点としてお部屋全体のインテリアを組み立てたくなるデザインです。
有名なデザイナーズ家具ではないですが、長年使い続けられる日本生まれの高品質なプロダクトとしておすすめのレザーソファーです。
ハーマンミラー社から1956年に発売され、現在まで製造販売されている代表的プロダクトの一つといえばこちらの「イームズラウンジチェア」です。
イームズラウンジチェアはミッドセンチュリーを代表する名作椅子で、プライウッドにレザー、アルミダイキャストベースを組み合わせ作られています。
このデザインで本体から脚まですべて分解も可能となっており、修理の際にその部分だけ交換できるように合理的な構造になっています。
この重厚で魅力あふれるデザインは一度見たら忘れられない、名作の証です。
チャールズ&レイ・イームズは、1950年、最初のシェルチェアをファイバーグラスで製造し、成功をおさめました。
100%リサイクル可能なポリプロピレン製のシェルチェアは、わずかにマットな質感がやわらかい印象をかもしだし、また耐久性にも優れています。
シェルチェアのシリーズにはアームチェアとサイドチェアがあり、豊富なカラーも選択できます。画像はアームチェアのシェルにファブリックを貼ったもの。
クッション性が高まり、ソファーとしてゆったりできる座り心地になります。
ミッドセンチュリーの代表的な作品です。
出典:haluta
こちらは1954年のミッドセンチュリー期にデザインされた、デンマークを代表するデザイナーハンスJ.ウェグナーのソファーベッドです。
普段はソファーとして利用でき、背面にはクッションやブランケットがしまえる収納スペースがあります。
ベッドとして使いたいときには背面の板を上に上げると、座面が広がり大人一人が寝られるスペースに早変わり。
ハンス・J・ウェグナー代表作の一つであるこちらのソファーベッドは、マットレスメーカーとして創業したデンマークのGETAMA社が製造しており、内包スプリングは適度な堅さで、寝ても座っても快適そのものです。
出典:tabroom
背もたれが無いタイプのミッドセンチュリーソファー、BUTTON Small Stool。
背もたれなどが無い分、配置のカスタマイズ性に優れます。
木脚の塗装色を変更できるので、あなた好みのソファーにしましょう。
出典:tabroom
1958年にデザインされたミッドセンチュリーソファー、SWAN SOFA。
SASロイヤルホテルの為に作られた逸品です。
曲線が多いのが特徴的なシンプルなソファーになります。
出典:tabroom
ハーマン・ミラー社の誇るミッドセンチュリーソファー、Eames Sofa 3 Seat。
本革のシックなデザインが人目を引くソファーになっています。
3 seatの名前通り、3人分の背もたれが別れており、広さも十分なインテリアです。
出典:karimoku60
ソファーとしてもベッドとしても使える、ミッドセンチュリーソファーです。
シンプルですが、それ故にどんな家具ともマッチするのがポイント。
1962年から続くカリモク60ブランドの注目のソファーです。
出典:tabroom
野田産業のブランド、NDstyle.のミッドセンチュリーソファーです。
ウォールナットをベースにしたソファーでナチュラルさが引き立つデザインになっています。
カラーは4色から選ぶことができるので、他の家具との組み合わせを楽しみましょう。
出典:tabroom
どっしりとした脚部が特徴的な、ミッドセンチュリーソファーです。
下部のベースがしっかりとしているので、安心感のあるデザインになっています。
くるみボタンが良いアクセントになったシンプルなソファーです。
出典:tabroom
まるでシェルのような特徴的なミッドセンチュリーソファー、Goetz Sofa。
ソファーの側面と背面が同じくらいの高さになっているので、非常に独創的なデザインになっています。
出典:tabroom
肘掛けが片方のみにあるミッドセンチュリーソファー、DAY 2P COUCH-L。
片側だけにすることで、横になった時に足を広々と伸ばせる設計になっています。
マット部分も装飾などが無く、シンプルで味が深いソファーです。
出典:viviandcoco
英国の伝統的なフォルムが特徴的なミッドセンチュリーソファーです。
まるでどこかのお城にあるかのような、独特なフォルムが人気の秘密。
明るく優雅なソファーをお求めの方にオススメです。
ミッドセンチュリーの典型的なデザインをしている、イームズソファコンパクト。
デザイナーはミッドセンチュリーでは有名なチャールズ&レイ・イームズ夫妻。
究極にシンプルですが、考えられた設計で今もなお人気のソファーです。
出典:Pinterest
エーロ・サーリネンがノル社から発表した有名なウームチェア。ミッドセンチュリー家具の代表作です。たくさんのクッションの中で身体を丸めながら過ごせるバスケットのようなチェアが欲しいと言うリクエストから生まれました。子宮の中で守られている赤ちゃんをイメージした座り心地からウーム(子宮)チェアと名付けられています。ゆったりとしたスペースで自由に体勢を変えることができ、まさに包み込まれているような快適さを感じることができます。
出典:楽天市場
インテリアだけではなく、様々な分野のデザインを手がけた巨匠ヨーゼフ・ホフマンのミッドセンチュリーソファーです。
イタリア製の総本革を使用し、ブラックレザーが重厚感のあるラグジュアリーな雰囲気を演出してくれます。
また、総本革は、ハーフレザーとは異なり年月がたっても劣化しにくく、体に馴染んでいくのが特徴です。
ソファー全体に連なった正方形のクッションが包み込むように体にフィットし、いつまでも座っていたくなるような快適な座り心地を感じられるでしょう。
出典:楽天市場
スペイン王室のために、近代建築の巨匠ミース・ファン・デル・ローエが設計したバルセロナチェア。
生地には手触りや撥水性の良いPUレザーを使用し、シンプルデザインながらも座り心地にこだわって設計されています。
また、座面のズレを防止するマジックテープや床を傷つけないための傷防止キャップなど、細部まで手を抜いていません。
デザイン性だけではなく、実用性にも優れたミッドセンチュリーソファーです。
出典:楽天市場
レザー調の高級感漂うロータイプのミッドセンチュリーソファーです。
主な材質には、天然木やウレタンを使用しています。
座面部分の奥行が広く、深く腰を掛けられるのが特徴です。
ゆったりとしたリラックスタイムを過ごせるでしょう。
出典:楽天市場
耐久性に優れたウォールナットの天然木とブラックスチールで仕上げられた、ミッドセンチュリーソファーです。
座面にはブラックレザーが使われているため、高級感のある大人の雰囲気を楽しめます。
また、背面をすべてウォールナット材で覆うのではなく、スペースを作ることで、落ち着いた色合いながらも開放感のある仕上がりになっています。
出典:楽天市場
ヴィンテージ風に加工されたフェイクレザーを使い、長く使い込まれたような仕上がりが特徴のソファーです。
クラッキングレザーの質感が、お部屋をヴィンテージな雰囲気に演出してくれます。
座面クッションは沈み込みが少ないちょうど良い硬さ、背面のクッションは、背中を預けやすいよう座面よりも柔らかく仕上げています。
ヴィンテージなデザインと快適な座り心地が合わさったミッドセンチュリーソファーです。
出典:楽天市場
曲線的に作られたシンプルなデザインのミッドセンチュリーソファーです。
日本の家に合うように、ロータイプで作られているため圧迫感を感じにくく、日本人好みの硬めの座り心地に設計されています。
ソファーカバーは、簡単に取り外し可能なので清潔さを保つことができるので、子供やペットがいる家庭でも安心です。
出典:楽天市場
日本人の生活に合うフロアタイプのミッドセンチュリーソファーです。
ロータイプのため、圧迫感がなく部屋を開放的に見せてくれます。
3パーツを組み合わせているので、インテリアに合わせて自由にレイアウトを変えることも可能です。
ファブリックカラーは、インテリアに合わせて4種類から選べます。
出典:楽天市場
20世紀を代表する建築家であるル・ コルビジェがデザインしたLC2ソファー。
別名は「グランドコンフォート」といい、「大いなる快適」という意味です。
素材にはイタリア製の総本革を使用。人工革と異なり、年月を重ねるにつれて、味わい深くなっていきます。
クッション部分はフィット感にこだわり、本体から取り外しも可能です。
出典:楽天市場
背面部分が丸み帯びたシェルの形に猫脚が特徴的なソファー。
フェミニンな印象なので、女性の部屋やおしゃれな店舗などにもぴったりのデザインです。
フレームには天然木を使用し、デザインだけではなく耐久性にもこだわっています。
また、10種類以上のカラーバリエーションの中から、お部屋に合わせてお好みのカラーを選べます。
出典:楽天市場
独創的なデザインのボールチェアは、フィンランドの有名インテリアデザイナー、エーロ・アールニオの代表作です。
本来は、エーロ・アールニオの自宅用のチェアとしてデザインされました。
半球体のフォルムのフレームに、ビビットカラーのファブリック、体を包み込むようなデザインとなっており、快適な空間としても利用できるでしょう。
ボールチェアは、様々な美術館にパーマネントコレクションされていたり、ケルン国際家具見本市で高評価を得たりと、注目度の高いチェアです。
ここからinstagramの写真から、実際の使用例を紹介していきます。
白い壁に落ち着いた色合いのソファーがとても合っていますね。どこに座るか迷ってしまいそうです。
暖炉で暖まりながら休日はゆっくり読書など、くつろげそうですね。
同じ色で統一されたインテリアにとても馴染んでいます。
敢えて同じ色で揃えない。カラフルでかわいいですね。
以上、ミッドセンチュリーソファーのまとめでした。
長年愛さえてきたミッドセンチュリーソファー。
上質故に高級ではありますが、ワンランク上のインテリアを目指すのであれば、避けては通れません。
是非、一度実物を見てみることをオススメします。
「デザイン思考は一部の人のためのものではない。僕らはみんなデザイナーになり得るんです。」
そう語るのは、KESIKI INCのパートナーであり、デザインコンサルティングファームIDEO Tokyoの立ち上げに従事したことでも知られるデザイナーの石川俊祐さん。ロンドン芸術大学セントラル・セント・マーティンズを卒業後、パナソニックデザイン、PDDイノベーションUKなどを経て、2013年、イギリスから日本に拠点を移しデザインディレクターとして数々のイノベーションプロジェクトを成功させてきました。日本の企業や教育機関、そして私たち一人ひとりに向けて「本当のデザインとは何か?」「日本人にとってのデザイン思考とは?」というメッセージを発信し続けている石川さんに、デザインの持つ力とその本質についてお話を伺います。第5回は、石川さんがデザインを学ばれたイギリスにおけるデザイン教育と、クリエイティブ産業について。そして次回第6回は、今後の日本においてのデザインの未来について、ご意見を頂きます。