インテリアや家具、建築の分類で「ミッドセンチュリー」という言葉があります。
ミッドセンチュリーとは「世紀の半ば」を意味する言葉で、インテリアの領域では主に1940~1960年代アメリカを中心としたインダストリアル(=産業)デザイン家具や、そのテイストを引き継ぐものを指します。
ミッドセンチュリーデザインはアメリカだけでなくヨーロッパや北欧、日本でもうまれ、家具の種類も多様ですが、今回はその中でもインテリアの要のソファにフォーカスを当ててご紹介します。
●ミッドセンチュリーとは
ミッドセンチュリーデザインの特徴として、戦後の開放感ある時代を体現するようなポップなカラーや曲線を多用したデザインなどが挙げられます。
加工技術が発達する以前は家具は木製で直線的なデザインがほとんどでしたが、戦時中に軍需産業が生み出したプライウッド(成型積層合板)やFRP(ガラス繊維強化プラスチック)などの新しい技術を、有名なイームズ夫妻、エーロサーリネン、ジョージネルソンを始めとするデザイナーが家具に応用しました。
それらの新しい家具が、戦後の人口増加に伴いのニーズの高まったアメリカ国内で広く受け入れられていきました。
ミッドセンチュリー期のデザインは、新しい技術が開発された事でより自由な創造が可能になったデザイナーによって作り上げられました。
ミッドセンチュリーのインテリア
ミッドセンチュリーのインテリアは、明るく開放感があるのが特徴的です。
ソファなら、真っ赤なファブリックを使った円状のクッションを組み合わせたネルソンの「マシュマロソファ」や、プライウッドにレザーを組み合わせたイームズの「ラウンジチェア」は特に有名です。
特徴的な家具を組み合わせ、開放感のある雰囲気を作り上げるのがミッドセンチュリーインテリアの特徴です。
●おしゃれなミッドセンチュリーソファ
ここからは、ミッドセンチュリー期のおしゃれなソファーたちから、おすすめ作品を紹介していきます。
<マシュマロソファ/ジョージ・ネルソン>
出典:ハーマン・ミラー
こちらはアメリカミッドセンチュリー期の名作である、ネルソンの「マシュマロソファ」です。直径約25cmの「マシュマロ」クッションが18個並ぶ様子は、お部屋の雰囲気を一気に楽しくしてくれます。
写真は黒のレザータイプですが、クッションの張地は多様なファブリックやレザーから選択可能なので明るい色のファブリックにすれば、よりポップな印象にできますね。
1956年にデザインされたこちらの作品は機能的にも優れており、面白い見た目とは裏腹に非常に座り心地の良いデザインです。
クッションは簡単にフレームから取り外すことができるので痛みやすい部分を定期的に交換すれば長期間使用しても劣化の進行を防ぐことができます。
<Kチェア2シータースタンダードブラック/カリモク60>
出典:vanilla
カリモクは戦後日本で生まれた木材工業の会社であり、まさにミッドセンチュリー期の60年代に家具メーカーとしての歴史をスタートさせたメーカーです。
こちらの1962年にデザインされた「Kチェア」は変わることなく愛され続ける定番商品です。
メーカーは知らないが見たことあるという人は多いのではないでしょうか。
レザーの重厚感とアームのなめらかなデザインは存在感があり、このソファを起点としてお部屋全体のインテリアを組み立てたくなるデザインです。
有名なデザイナーズ家具ではないですが、長年使い続けられる日本生まれの高品質なプロダクトとしておすすめのレザーソファです。
<ラウンジチェア&オットマン/イームズ>
出典:ハーマン・ミラー
ハーマンミラー社から1956年に発売され、現在まで製造販売されている代表的プロダクトの一つといえばこちらの「イームズラウンジチェア」です。
イームズラウンジチェアはミッドセンチュリーを代表する名作椅子で、プライウッドにレザー、アルミダイキャストベースを組み合わせ作られています。
このデザインで本体から脚まですべて分解も可能となっており、修理の際にその部分だけ交換できるように合理的な構造になっています。
この重厚で魅力あふれるデザインは一度見たら忘れられない、名作の証です。
<プラスチックシェルチェア/イームズ>
出典:ハーマン・ミラー
チャールズ&レイ・イームズは、1950年、最初のシェルチェアをファイバーグラスで製造し、成功をおさめました。
100%リサイクル可能なポリプロピレン製のシェルチェアは、わずかにマットな質感がやわらかい印象をかもしだし、また耐久性にも優れています。
シェルチェアのシリーズにはアームチェアとサイドチェアがあり、豊富なカラーも選択できます。画像はアームチェアのシェルにファブリックを貼ったもの。
クッション性が高まり、ソファとしてゆったりできる座り心地になります。
ミッドセンチュリーの代表的な作品です。
<GE258 デイベッド/ハンスJ.ウェグナー>
出典:haluta
こちらは1954年のミッドセンチュリー期にデザインされた、デンマークを代表するデザイナーハンスJ.ウェグナーのソファベッドです。
普段はソファとして利用でき、背面にはクッションやブランケットがしまえる収納スペースがあります。
ベッドとして使いたいときには背面の板を上に上げると、座面が広がり大人一人が寝られるスペースに早変わり。
ハンス・J・ウェグナー代表作の一つであるこちらのソファベッドは、マットレスメーカーとして創業したデンマークのGETAMA社が製造しており、内包スプリングは適度な堅さで、寝ても座っても快適そのものです。
<BUTTON Small Stool/DESIGNERS GUILD (>
出典:tabroom
背もたれが無いタイプのミッドセンチュリーソファ、BUTTON Small Stool。
背もたれなどが無い分、配置のカスタマイズ性に優れます。
木脚の塗装色を変更できるので、あなた好みのソファにしましょう。
<SWAN SOFA/Fritz Hansen>
出典:tabroom
1958年にデザインされたミッドセンチュリーソファ、SWAN SOFA。
SASロイヤルホテルの為に作られた逸品です。
曲線が多いのが特徴的なシンプルなソファになります。
<Eames Sofa 3 Seat/Herman Miller>
出典:tabroom
ハマーンミラー社の誇るミッドセンチュリーソファ、Eames Sofa 3 Seat。
本革のシックなデザインが人目を引くソファになっています。
3 seatの名前通り、3人分の背もたれが別れており、広さも十分なインテリアです。
<スリーピングソファ/カリモク60>
出典:karimoku60
ソファとしてもベッドとしても使える、ミッドセンチュリーソファです。
シンプルですが、それ故にどんな家具ともマッチするのがポイント。
1962年から続くカリモク60ブランドの注目のソファです。
<frac ソファ2.5P/NDstyle.>
出典:tabroom
野田産業のブランド、NDstyle.のミッドセンチュリーソファです。
ウォールナットをベースにしたソファーでナチュラルさが引き立つデザインになっています。
カラーは4色から選ぶことができるので、他の家具との組み合わせを楽しみましょう。
<WINDAN SOFA W1900/ACME FURNITURE>
出典:tabroom
どっしりとした脚部が特徴的な、ミッドセンチュリーソファです。
下部のベースがしっかりとしているので、安心感のあるデザインになっています。
くるみボタンが良いアクセントになったシンプルなソファです。
<Goetz Sofa/Herman Miller>
出典:tabroom
まるでシェルのような特徴的なミッドセンチュリーソファ、Goetz Sofa。
ソファの側面と背面が同じくらいの高さになっているので、非常に独創的なデザインになっています。
<DAY 2P COUCH-L/LEAD ME HOME BY RIVER GATE>
出典:tabroom
肘掛けが片方のみにあるミッドセンチュリーソファ、DAY 2P COUCH-L。
片側だけにすることで、横になった時に足を広々と伸ばせる設計になっています。
マット部分も装飾などが無く、シンプルで味が深いソファです。
<VK-F92K/VINCENT>
出典:viviandcoco
英国の伝統的なフォルムが特徴的なミッドセンチュリーソファです。
まるでどこかのお城にあるかのような、独特なフォルムが人気の秘密。
明るく優雅なソファをお求めの方にオススメです。
<イームズソファコンパクト/hermanmiller>
出典:hermanmiller
ミッドセンチュリーの典型的なデザインをしている、イームズソファコンパクト。
デザイナーはミッドセンチュリーでは有名なチャールズ&レイ・イームズ夫妻。
究極にシンプルですが、考えられた設計で今もなお人気のソファです。
最後に
以上、ミッドセンチュリーソファのまとめでした。
長年愛さえてきたミッドセンチュリーソファ。
上質故に高級ではありますが、ワンランク上のインテリアを目指すのであれば、避けては通れません。
是非、一度実物を見てみることをオススメします。