北欧デザイン家具の魅力とは

by twistdesign
北欧家具

日本では北欧デザイン家具が定番の人気となっています。北欧出身のデザイナーの名作と呼ばれる高級家具から、北欧風で低価格帯の家具まで多くの商品を手に入れることができます。北欧デザイン家具といえば、なんとなくやさしい木目調や実用的で洗練されたイメージがあると思いますが、北欧デザインの家具が具体的にどんなものなのか意外と知らない人も多いのではないでしょうか。今回は北欧デザイン家具の特徴や魅力、代表するデザイナーやブランドをご紹介します。

●北欧デザイン家具の特徴

北欧デザインの家具は長く寒い冬を快適に過ごすために、機能的で暖かみのあるシンプルなデザインが特徴です。北欧の主な国はスウェーデンやデンマーク、フィンランドにノルウェー。ヨーロッパの北に位置する冷涼な地方です。夏でも朝晩は寒くジャケットが必要で、冬場の気温はマイナスまで下がります。夜の長い冬のあいだは室内で過ごす時間が長いため、自然と家の中を居心地の良、温かい空間にしようと工夫が重ねられてきました。温かみや優しさ、元気や明るさ、そういった雰囲気を家具や小物を通して作り出してきたのです。また、物を大切に長く使う文化が浸透しており、経年変化を楽しめる木肌を生かした家具が多いのも特徴の一つです。
世界一と言ってもよいほどインテリアに熱意を持っているのが北欧の人々に育てられ、世界中で愛される北欧デザインの家具が生まれてきました。

●北欧デザイン家具の魅力

ただ美しいデザインというだけでなく、その機能性が北欧デザイン家具の魅力です。例えば、北欧インテリアスタイルのイスは、美しく機能的な曲線が特徴です。木材に熱を加えながら徐々にカーブさせる「曲げ木」という技法で、人の身体の曲線にフィットするように考えられています。彫刻に影響を受けたデザイナーや、建築家であり家具のデザインもしていたデザイナーも多く、建築の中でどう使われるかが計算された家具であったり、彫刻のような曲線美があるのが魅力です。
また北欧デザイン家具は、ベージュや深いブラウン、モスグリーンなど木材の自然な発色を生かした作品が多く、ソファや椅子の座面もウール、やペーパーコードなど天然のものを使っています。このようなナチュラルなベースに、グリーンやブルー、赤などのはっきりした色合いのファブリックや小物を合わせ、明るいインテリアに仕上げていきます。

デンマークの家具

1900年代初頭の北欧では、貴族向けの重くて大きな家具が主流でした。しかし、1940年代に生活協同組合がデンマーク国民を豊かにする目的で、「高い質、買いやすい価格、高い機能やデザインを」と掲げた家具製造したところから、現在のようなシンプルデザインが発達したと言われています。気候的にも寒く、昼間の日照時間が短い為に家の中で過ごす時間が長い国ですが、そんな生活者の事情に応えるかのようにデザイナーとメーカーが協力をして、日常の中に美しいデザインが根付いていきました。

デンマーク家具についてより詳しい内容は、「デンマーク家具の魅力」を御覧ください。

スウェーデンの家具

北欧デザインといえばデンマークを思い浮かべる人も多いと思いますが、スウェーデン出身のデザイナー・家具にも優れたものが多くあります。IKEAやH&MやElectroluxと言ったスウェーデン企業が生み出す商品は馴染み深いですよね。「スウェーデン家具の父」といわれるカール・マルムステンや、「マットソンチェア」で有名なブルーノ・マットソンのデザインに代表される、白木を生かしたシンプルで機能的な木工作品が有名です。

北欧家具のデザイナー

北欧デザイン家具について知りたいなら、有名なデザイナーをまず抑えましょう。

・コーア・クリント

コーア・クリントは、「デンマーク近代家具デザインの父」とまで呼ばれたデザイナーです。建築家の父の元に生まれ、家具の分野で多くの功績を残す“デンマーク家具界の礎”ともいうべきデザイナーへと成長しました。デンマーク王立芸術アカデミーの建築科に家具コースを作ることに尽力し、クリントが初代教授を務めた家具デザイン科ではその後のデンマーク家具を牽引したデザイナーを多く輩出しました。代表的な作品としては、ファーボー美術館用に作られた「ファーボー・チェア」や折り畳みが可能な「サファリチェア」、「デッキチェア」など、クラシック家具の影響を受けた作品が挙げられます。

・ハンス・J・ウェグナー

ハンス・J・ウェグナーはデンマークを代表する家具デザイナーで、椅子の巨匠として知られ、北欧デザインといえばウェグナーを挙げない人はいないでしょう。500脚以上の椅子をデザインしていますおり、ペーパーコード張りの座面で座り心地抜群の「Yチェア」や、低い座面で背もたれの高い「ピーコックチェア」が超ロングセラーとなった、デンマーク家具黄金時代を代表するデザイナです。

・アルネ・ヤコブセン

アルネ・ヤコブセンはコペンハーゲン出身の建築家・デザイナーで、シンプルで研ぎ澄まされたデザインが魅力です。建築作品も多く残っていますが、やはり有名なのは椅子のデザイン。誰もが見たことがあるであろう「セブンチェア」や「アントチェア」、包まれているような感覚の「エッグチェア」や「スワンチェア」が有名です。

・フィン・ユール

フィン・ユールはコペンハーゲン出身の建築家・家具デザイナーで、建築や彫刻から影響を受けた美しいデザインが特徴です。彫刻家のヘンリー・ムーアやジャン・アルプの作品に傾倒しており、その影響からか、ユールの生み出す家具は彫刻作品を思わせる美しい曲線が魅力です。「No.53 Easy Chair」や「ペリカンチェア」、世界で最も美しいアームのイスと言われる「No.45」などが有名です。

・カイ・クリスチャンセン

カイ・クリスチャンセンはデンマークで生まれ、伝統的な家具の形態と職人技からインスピレーションを受けつつも、人間工学を考慮したデザインを多く残しています。すっきりとしたシルエットと座りやすさが特徴の「ネイルチェア」やシャープなアームの仕立てが美しい「No42ペーパーナイフチェア」が有名です。

・ニルス・ストリニング

スウェーデンの建築家であるニルス・ストリニングは妻のカイサ・ストリニングとともに独創的な発想から、壁に取り付けられ、柔軟性に優れ、かつ軽やかでミニマムな収納棚である「ストリング・システム」をデザイン。このデザインをきっかけに、ニルス・ストリニングは現代の北欧デザインの礎を気づいたひとりとして、世界的に高く評価されています。

・カール・マルムステン

家具デザイナー、そして教育者であり、「スウェーデン家具の父」とも呼ばれています。スウェーデン文化に根ざした家具デザイン、制作を行い、多くの家具を生み出しました。また教育者として、木工やテキスタイル等を学ぶ私塾(カペラゴーデン)を創立し、多くの教え子を輩出しました。

・ブルーノ・マットソン

スウェーデンの家具工房を営む家系で生まれ育ち、若くして家具製作の修行を行いました。デンマークで多くの家具デザイナーが活躍していた1950年代に、スウェーデンで活躍した数少ない著名な建築家、家具デザイナーです。人間工学的観点からデザインされた有機曲線を使った『マットソンチェア』など数々の優れた家具を生み出しました。

・アルヴァ・アアルト

フィンランドの近代建築・家具デザインの巨匠です。
環境との共生、地域文化の尊重、地場産業の育成など今日的なテーマを一早く実践しました。そのデザインの特徴は、モダンでシンプルかつナチュラル。1935年に自身のデザインする家具、照明を製造するアルテック社を設立します。アアルトの家具は現在でもアルテック社で取り扱っています。

北欧家具のブランド・メーカー

以下で紹介するブランドでは北欧のデザイナー作品の正規品を販売しています。家具単体だけではなく、部屋全体のインテリアの参考にもなるのでチェックしてみて下さい。

・フリッツハンセン(Fritz Hansen)

フリッツ・ハンセンは、国際的な高級デザインブランドです。時代に左右されることなく、世界的にも有名なクラシックラインからコンテンポラリーラインまで、家具、照明、アクセサリー小物をひとつの世界観をもって表現しています。1872年にデンマークで創業し、長年に渡り一流の国際的デザイナーと協力し、時代を先取りした彼らのコンセプトに命を吹き込んできました。アルネ・ヤコブセンの「エッグチェア」、「スワンチェア」、「セブンチェア」、ポール・ケアホルムの「PK22チェア」や「PK80デイベッド」がコレクションに含まれています。

フリッツハンセン(Fritz Hansen)

出典:フリッツ・ハンセン

・カール・ハンセン&サン(Carl Hansen & Son)

1908年、家具職人のカール・ハンセンによってデンマークのオーデンセに設立された家具メーカーです。1920年代後半からデザイナーとタッグを組んだ商品開発をはじめ、1949年よりスタートしたハンス・J・ウェグナーとのパートナーシップで数々の名作を発表。中でも1950年に発表された「Yチェア」は、世界で最も愛され続けている椅子と言える不朽の名作です。デンマークだけにとどまらず、北欧を、そして世界を代表するトップ家具ブランドの1つです。

カール・ハンセン&サン(Carl Hansen&Son)

出典:カール・ハンセン&サン

・アルテック(Artek)

1935年、建築家アルヴァ・アアルトら4人の若者によってフィンランドで設立。北欧モダンを代表するブランドとして、家具はもちろん、インテリア雑貨、ファブリック、文具まで、ライフスタイルのあらゆる場面で広く親しまれています。フィンランド産の木材を活用するため、アアルト特有のL-leg(エルレッグ)という曲げ技法を開発。安定した品質での大量供給を可能とし、Stool 60をはじめとする名作家具を次々と生み出していきました。

アルテック(Artek)

出典:アルテック

・ムート(Muuto)

ムートは2006年、デンマークにて設立された比較的新しい家具ブランドです。北欧家具ブランドらしいシンプルでミニマムなデザインを継承しつつ、北欧諸国から探し出した若手気鋭デザイナーらとのコラボレーションで次々と新鮮なプロダクトを輩出しています。ラインナップするプロダクトは、家具から照明、インテリア小物、日用品と多岐におよび、日本国内でも有力インテリアショップで数多く展開されています。北欧デザイン界を牽引する力を持った、ニュースタンダードというべき北欧デザインのライフスタイルブランドです。

ムート(Muuto)

出典:ムート

・ストリング・ファニチャー

1949年にスウェーデンに誕生した壁かけシェルフ専門のブランドです。建築家・デザイナーであるニルス・ストリングがデザインしたシェルフを展開しています。規格化されたパーツを組み合わせて作る方式のシェルフで、用途やスペースに合わせて自由に設置できる優れもの。カラー展開やオプションパーツが豊富な上、何十年も規格が変わらないロングラン商品のため、徐々に買い足したり、組み替えたりとカスタマイズしていけるのも特徴です。日本の狭い家屋でも設置しやすいシェルフシリーズです。

ストリング・ファニチャー

出典:ストリング・ファニチャー

ヴィンテージ品

北欧デザイン家具は正規の新品やリプロダクト品などで簡単に手に入るものも多くありますが、今は生産されていない商品や発売当時そのもののデザインにこだわりたい人は、ヴィンテージがおすすめです。
もともと北欧デザイン家具は長年使い続けられるように丈夫に作られており、現地ではヴィンテージの市場も活発です。ヴィンテージならではの色合いを楽しんだり、ファブリックを張り替えて自分だけのデザインにしてみたいですよね。ヴィンテージ品はインターネット販売やヴィンテージ家具ショップでの購入が主な入手経路です。欲しい作品を見つけたら、根気よく探してみましょう。

ヴィンテージ品

出典:greeniche

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