2021年に控えたオリンピックを前に、今街の建築物が見直されています。従来のデザインより新しく取り入れられているのが「ユニバーサルデザイン」。しかし、名前を聞いてもどんなものを指すのかわかる人は多くありません。
そこで今回は、ユニバーサルデザインとはどんなものなのかをご紹介します。身近にある建築物の例や、採用するメリットと合わせて見ていきましょう。
ユニバーサルデザインとはどんなもの?
まずはユニバーサルデザインがどのようなものなのかをご紹介します。ユニバーサルデザインとは、年齢や性別、国や能力の違いに関わらず、誰でも使いやすく快適にデザインされたものを指します。
よく「バリアフリー」と間違われやすいのですが、バリアフリーは障害を持った人を対象にしているデザインのことです。ユニバーサルデザインになると、対象者をもっと広く、万人に使いやすいように設計されているのがわかりますね。
建築物にユニバーサルデザインを取り入れるメリット3つ
それでは、建築物にユニバーサルデザインを取り入れるとどんなメリットがあるのでしょうか?ここでは3つのメリットをご紹介します。
建築物にユニバーサルデザインを取り入れるメリット①:安心安全なまちづくりに貢献
まちにある建築物の中には、災害時の避難施設に指定されている場所も少なくありません。もし災害にあって避難したとき、誰もが安心して安全に使える施設である必要があります。そのとき役立つのがユニバーサルデザインの建築物です。老若男女、身体能力に関わらず性能を発揮できるため、安心して外出もできますね。
建築物にユニバーサルデザインを取り入れるメリット②:誰にでもわかりやすいまちに
ユニバーサルデザインは、国や言語に関わらず使いやすいデザインのことです。そのため、まちの建築物にユニバーサルデザインを採用することは、外国人観光客や小さい子ども、お年寄りなども使いやすいでしょう。
大勢の人が使う施設だからこそ、誰にでもわかりやすい建築物は助かりますね。
建築物にユニバーサルデザインを取り入れるメリット③:どんな建物でも使いやすい空間に
まちに溢れる建築物は、さまざまな目的に合わせて作られています。学校や公園、ホテルや商業施設など、目的に応じて建物の作り方も変わってきます。しかし、そのどれにおいても使いやすいのがユニバーサルデザインなのです。
トイレやエレベーターなど、まちの建築物のいたるところにユニバーサルデザインが隠されていますよ。
ユニバーサルデザインを使用した建築物の10の事例
ユニバーサルデザインがどんなものなのか、またどういうメリットがあるのかわかったところで気になるのが具体例ですよね。ここでは、まちに潜むユニバーサルデザインを採用した建築物をご紹介します。
建築物のユニバーサルデザイン例①:スロープ
まちのいたるところで見かけるスロープ。車いすの人やベビーカーでの利用はもちろん、足が悪い人や松葉杖を使っている人も助かるユニバーサルデザインです。車いすやベビーカーは、人を乗せたまま昇り降りができるため、利用者は移動を楽に行えます。
建築物のユニバーサルデザイン例②ショッピングセンターの空間構成
ショッピングセンターは、小さな子どもからお年寄りまで利用する商業施設です。また外国人や障害を持った人も多く利用します。そのため誰もが一目見てわかる空間構成がされていることが多いのです。
広く開放した作りの中にはエスカレーターやお店、トイレやエレベーターがわかる案内板の設置など、誰もが使いやすくわかりやすい構成になっています。私たちが気付かないところまで工夫がされていたのですね。
建築物のユニバーサルデザイン例③:広々とした駐車場
私たちが何気なく使っている駐車場にも、ユニバーサルデザインが隠されています。車いす対応の駐車スペースや妊娠中やケガをしている人のための駐車スペースは、通常より広く余裕を持って駐車できるのが特徴です。
車いすはもちろん、ベビーカーの出し入れが必要な小さな赤ちゃん連れの家族や、ケガをしていて乗り降りにゆったりしたスペースが必要な人など、たくさんの人に使いやすい工夫がされています。
建築物のユニバーサルデザイン例④:ピクトグラム
ピクトグラムとは、視覚的にわかりやすいアイコンのことです。ピクトグラムでは文字を使わず絵文字でわかりやすく目的を示しているのが特徴。誰が見ても一目で目的の場所がわかります。
そのためピクトグラムを使うと、まだ文字が読めない小さな子どもや外国の人への施設案内がスムーズに行えるでしょう。
建築物のユニバーサルデザイン例⑤:多目的トイレ
車いすの人の利用だけでなく、高齢者や赤ちゃんのおむつ替えスペースが設置された多目的トイレもユニバーサルデザインのひとつです。室内は一般のトイレに比べて広々と作られています。
車いすでも快適に利用できるように十分なスペースを確保。またトイレへ移りやすいように手すりも設置されています。手すりやおむつ替えシートは可動式になっているため、使わないときは収納可能です。
建築物のユニバーサルデザイン例⑥:駐車スペースのカート置き場
ショッピングセンターの駐車場のあちらこちらに設置されているカート置き場も、ユニバーサルデザインの中のひとつです。買い物した人は重たい荷物をカートに乗せたまま車まで運べます。
お店の中までカートを返しにいく手間がはぶけるため、使いやすさを追求したデザインなのです。
建築物のユニバーサルデザイン例⑦:商店街などにあるベンチ
商店街や観光地に置かれたベンチで、ほっと一息ついたことがある人も多いのではないでしょうか?これらの休憩所も使いやすさを追求したユニバーサルデザインです。観光地や商店街などでは、座る場所も少なく親子連れや高齢者は疲れることも多いでしょう。
ベンチがあることで、自分のペースで休憩をとりながら外出を楽しむことができます。
建築物のユニバーサルデザイン例⑧:遊歩道や景観などに配慮した公園
公園の中にもユニバーサルデザインが採用されています。広い道幅にスロープなどで整備された道は、老若男女問わず使いやすくアクセシビリティを追求したものです。中には点字ブロックや手すりを設置するなど、さらにワンアクション加えているものも。
また自然の景観を壊さないような色使いや、生態系への配慮がされているのも特徴です。
建築物のユニバーサルデザイン例⑨:段差レスな玄関ホール
公共施設以外に自宅などの建築物デザインも見直されています。中でも玄関ホールは、従来の日本家屋だと段差が必須でした。しかし障害者や高齢者、小さな子どもにとっては段差が使いにくいと感じることも少なくありません。
そこで採用されているのが、段差をなくしたものや低くしたユニバーサルデザインです。段差をなくすことで、家族や来客者みんなが快適に家の中へと入ることができるでしょう。
建築物のユニバーサルデザイン例⑩自動ドア
手を使わずに扉の開け閉めが叶う自動ドアは、今では生活になくてはならないユニバーサルデザインです。車いすの人やベビーカーを押すときのほか、荷物で両手がふさがってドアが開けられないときも重宝するでしょう。
また、ドアが重たく開けられない子どもでも、自動ドアなら出入りが簡単にできますね。自動ドアは段差もないため、さまざまな人にとって便利なユニバーサルデザインです。
まとめ
ユニバーサルデザインは、今では私たちの生活になくてはならないものになっています。普段手にしている小物や生活用品などにも、実はユニバーサルデザインが使われていることも多いのですよ。
今回は、まちの中にある建築物から代表的なものをご紹介しました。私たちの生活を支えてくれているユニバーサルデザインを、ぜひ実生活でも見つけてみてくださいね。