使ったことのあるユニバーサルデザイン
今回は、だれもが使ったことのあるユニバーサルデザイン商品を紹介させていただきます。それはずばり、シャンプーです。あるいは、リンス、コンディショナー、ボディソープ。わたしたちが普段お風呂でお世話になっているそれらの身近なプロダクトたち。
シャンプーのユニバーサルデザインの歴史は長く、じつは1970年代からすでに始まっています。最初、シャンプーはペットボトルのように回して使うタイプの蓋でした。それを片手で使えるように、押上げ式のキャップを採用したところから始まっています。
それからわたしたちのよく知るポンプ式のものへと移行していくわけです。わたしたちが普段使っているあのポンプ式のシャンプーボトルも、様々な工夫と想像力を駆使して作られた、それだけでもユニバーサルデザインの商品と言えるのかもしれません。
参考URL:花王 | UDの取り組みの歴史 (kao.com)
このように、ほんとうに、ものすごく身近なところからユニバーサルデザインは見つけることができます。
この記事では、そういったすぐそこにあるユニバーサルデザインをまた改めて再認識して、日々の生活に新しい視点を取りいれることができたら、と思い、シャンプーやそれに類する商品に光をあてて、ちょっといつもとは違った角度からながめてみることにします。
きっと素敵な発見がいくつもあるはずです。工夫と想像力、そしてなによりもほのかな淡い優しさがそこには浮かんでいるはずですから。
・きざみのユニバーサルデザイン
まず一番有名なシャンプー側面のぎざぎざや、あるいはキャップ部分のきざみについてです。
参考URL:日本石鹸洗剤工業会 石けん洗剤知識 石けん洗剤の基礎 (jsda.org)
ユニバーサルデザイン例:① 花王 メリット ポンプシャンプー
出典:楽天市場
シャンプー容器の側面にきざみがあり、触覚でシャンプーかコンディショナかを見分けることができます。また、こちらはポンプタイプなので、キャップの上の部分、つまり押すときに手で接触する部分にもきざみの線がついていて、目をつむったままでもわかりやすいくなっています。
ユニバーサルデザイン例②: エッセンシャル スマートリペアシャンプー
出典:楽天市場
こちらも、側面に刻みがあるタイプのシャンプーです。こちらはポンプ式ではありません。構造上、使うときに側面をにぎって使うような設計になっているので、側面のざらざらに気づくことが多くなります。ボディラインも握りやすいようになっていますね。
ユニバーサルデザイン例③ コーセー ビオリスボタニカルシャンプー
出典:楽天市場
こちらは、容器が透明のシャンプーボトルです。なのできざみだけでなく、ぱっと見た視覚情報だけでもすぐにシャンプーとわかることができます。泡立っていて、目をあけるのがつらいとき、ほんのすこしの視覚だけでも即座にわかるというのは、うれしいことですね。
ユニバーサルデザイン例④ ビオレ ビオレu ポンプ
出典:楽天市場
今度はボディソープやハンドソープです。こちらにも触覚用のきざみがあります。シャンプーがざらざらとしたきざみなら、ボディソープは一本線の太くはっきりとした線があります。ポンプ部分もシャンプーと同様にあり、そちらも一本の太い線となっています。ちなみに、コンディショナーにはきざみがなく、つるつるしています。
・詰め替え容器のユニバーサルデザイン
詰め替え容器にも触覚表示が適用されるようになりました。また、色によってもすぐにわかるように工夫されています。(キャップが、黒=シャンプー、灰色=コンディショナー、白=ボディソープ)
参考URL:花王 | シャンプーのきざみに込められた思い (kao.com)
ユニバーサルデザイン例 ⑤ 花王 メリット リンスのいらないシャンプー クール
出典:楽天市場
キャップ部分を見ると、黒くなっていますね。そしてキャップのてっぺんに、ざらざらした細かい刻みがあります。これによって蓋をあける際に、触覚によってシャンプーと認識することが容易になっています。
ユニバーサルデザイン例⑥ 花王 メリット ピュアン ナチュラルコンディショナー
出典:楽天市場
コンディショナーはキャップが灰色になっています。また、キャップのてっぺんにきざみがなくつるつるしています。それにより触った瞬間に、シャンプーやボディソープとの区別ができます。ちなみに、ボディソープは一本の太い線がキャップに浮かんでいます。
ユニバーサルデザイン例⑦ コーセー ビオリスボタニカルシャンプー 詰め替え
出典:楽天市場
こちらのタイプの詰め替え容器にも、工夫がなされています。切り口の下の部分に、細かいきざみの入っているのがわかります。これが触覚で識別できるユニバーサルデザインになります。
・それ以外のユニバーサルデザイン
それ以外にも、シャンプー関連のユニバーサルデザインはまだあります。シャンプーの詰め替え用ボトルにも、工夫はいろいろとなされています。その一例として、シャンプー、コンディショナー、ボディソープのボトルを視覚的に列挙していきます。
ユニバーサルデザイン例⑧ サラヤ ラシュヴェール シャンプーボトル
出典:楽天市場
こちらのボトルは、見ただけですぐにシャンプーとわかるように絵によって表示されています。なので言葉がわからなくともすぐに用途がわかります。まさしくピクトグラム的なユニバーサルデザインです。
ユニバーサルデザイン例⑨ サラヤ ラシュヴェール コンディショナーボトル
出典:楽天市場
こちらもぱっとみて、コンディショナーを使っている女性だとわかるデザインがボトルに表記されています。また、このボトルシリーズはすべてが透明の容器になっているので、中身をそれだけでも識別しやすくなっています。ひとつひとつの配慮が、とてもうれしいですね。
ユニバーサルデザイン例⑩ サラヤ ラシュヴェール ボディソープボトル
出典:楽天市場
こちらも、同じくボトルに表示されているデザインのみで用途をすぐに理解することができます。言葉ではなく、絵やイメージによっても伝えていき、言語の壁を乗り越えるというスタンスがとてもユニバーサルデザイン。
・シャンプー類は、優しさがいっぱい
この記事では、そのひとつの礎石として、シャンプー類に焦点をあてて、わたしたちの生活のなかにあるユニバーサルデザイン、その泡のごとく香るほのかな優しさを再発見していきたいと思い、書きました。
ユニバーサルデザインというのは、「だれもが」使えるように設計されていますから、その「だれもが」のなかには当然健常者も入っています。
普通に生きてきて、特に不自由もなく、ほかの人々と一般的なレベルではほとんど変わらない、そんなほんとうに普通の人。そんなひとたちがいつのまにかユニバーサルデザインを使っている、あるいはその恩恵を受けているというのも結構頻繁にあることなのです。
実際、今回のボトル容器でも出てきたピクトグラムなどの絵やイメージを介した表記というのは、わたしたちの生活には根付いていますし、わたしたちはだれもがそれを当たり前のこととして享受しています。たとえばトイレの標識ひとつとっても、ユニバーサルデザインの精神が刻まされています。
そうした身近にあるユニバーサルデザインを再度見つけて、焦点をあてて、日々の生活というものを新しい視点からながめてみるのもおもしろいことですし、それはこの世界やいまの生活というものを感謝する、ひとつの手立てとなるでしょう。
またそれによって「当たり前」の意味が変わり、よりクリエイティブな視点から物事を見ることができるようになるのでしょう。そうして得た発想やイメージが、次なる時代、次なる世界を作っていくのでしょう。