ユニバーサルデザインの配色例10選!身近なあのデザインも登場

by twistdesign

年齢、性別、国籍、障害の有無など全ての多様な人たちが、快適な暮らしを実現するための一歩となるユニバーサルデザイン。
今、色覚の多様性に対応する形で、ユニバーサルデザインを構成する色にもバリアフリー化が求められています。
今回はユニバーサルデザインの配色に注目してみましょう。

ユニバーサルデザインの配色とは一体なに?

色の感じ取り方は非常に多様です。
色を感じ取る感覚には、C型、P型、D型、T型など、さまざまな種類が存在します。このような人による色覚の差は、現代において特性としてとらえられるようになりました。身近な例として、以前行われていた学校での色覚検査もその一環です。

教育現場でも色の捉え方の個人差が浸透しつつあり、教師が生徒に特定の色の名前を答えさせる場面を失くすなどの、配慮が求められています。
個性の一部と前向きに捉えられる一方で、色覚に差があると日常生活に支障をきたす場面が多いのも事実です。
たとえば、一般的な色覚を持つC型の人が見えやすいように作られた、赤と緑の配色の警告看板が、P型、D型の色覚を持つ人には非常に見えづらい配色となり、危険を察知するのが遅れてしまいます。

反対に、黒ベースに青の文字を乗せるとC型の人には見えにくく、P型、D型の人には見えやすいといった側面もあるのです。こうした多様な色覚に対応するために、色の組み合わせや明度などを工夫したデザインが、ユニバーサルカラーデザインです。

先天的、後天的な目の疾患や、遺伝子のタイプにより、一般の人と色の見え方が異なる人は日本全体でも300万人、世界中では2億人を超えると言われています。
そのため、今後ユニバーサルデザインにおけるカラーバリアフリー化は、重要な課題と言えるでしょう。

ユニバーサルデザインの配色にはどんな色が使われる?

色弱者の多数を占めると言われているP型やD型の場合は、暖色同士や寒色同士の配色に見わけ辛さを感じることが多いです。これは、暖色系の赤、オレンジ、黄色、などが全部同じ様な色に見えてしまうということを指します。

この不便を解消するために使われる、ユニバーサルデザインの配色が、「暖色と寒色の組み合わせ」です。たとえば暖色のオレンジのベースに寒色の青の文字を乗せることで、文字が識別しやすくなります。

さらに色の明度が異なっていれば、より区別しやすくなるため、明度を変えた暖色と寒色の組み合わせを使うのが一般的です。また、黒い文字が連続する文章の間に現われる、強調を意味する赤い文字も、色弱者にとっては識別しづらい配色と言えます。

そのため、強調部分はオレンジや水色で表示し、さらにアンダーバーや太文字を併用することが必要です。赤の明度を上げる方法は、色弱者にとっては見えやすくなりますが、今度は一般色覚者に眩しすぎる色になってしまいます。

どちらか一方だけでなく、全ての多様な人たちに平等に情報を伝える役割を担うのが、ユニバーサルカラーデザインです。

実際にユニバーサルカラーデザインを使用した具体例10選

ユニバーサルカラーデザインは実は身近なものにたくさん見つけることができます。

・ユニバーサルデザインの配色①道路標識

道路標識は、誰にでもわかりやすい表示の工夫がたくさん詰まっています。
写真の標識は、赤と青の暖色と寒色を組み合わせ、Uターンしている矢印に斜線がかかっていることで、伝えたい内容が一目でわかりますね。
矢印に使われている明度の高い青も、識別しやすい色です。
古くから長く使われているデザインにはそれなりの理由があることがわかります。

・ユニバーサルデザインの配色②公衆トイレのマーク

公衆トイレのマークもユニバーサルカラーデザインが使われています。
暖色の赤と寒色の青の配色とイラストは、一目で男子トイレ、女子トイレの区別が可能です。
色だけで区別できない場合はプラスする文字やイラストで、より分かりやすい表示を心がける必要があります。
トイレにおしゃれなマークを使っている場所もありますが、一般的には誰もが一目でわかる普遍的なデザインが多く採用されているようです。

・ユニバーサルデザインの配色③駐車場

灰色のアスファルトに白でイラストが描かれた駐車場は、車を運転していてもわかりやすい配色です。
アスファルトに黄色で文字やイラストを表示している場所がありますが、退色と共に見え辛い色になる可能性があります。
大切な表示は定期的に点検をして、よりわかりやすいものに改良していく努力が必要です。

・ユニバーサルデザインの配色④駅のホーム看板

駅のホームに使われる看板も、全ての人にわかりやすい工夫が必要です。
公共の交通機関などは、積極的にユニバーサルカラーデザインを取り入れています。
自分がよく使う駅のホーム看板などもチェックしてみるといいですね。

・ユニバーサルデザインの配色⑤立ち入り禁止の看板

工事中の立ち入り禁止看板も、ユニバーサルカラーデザインが使われているものがほとんどです。
危険を知らせるものは、色弱者を事故から守るためにカラーバリアフリーが求められます。

・ユニバーサルデザインの配色⑥公衆ごみ箱

公共の場に設置されたごみ箱にもユニバーサルカラーデザインの配色が見られます。
隣り合わせる色に明度の違うブルーを使ったり、ベースに色を使った場合は文字やイラストには色を使わなかったり、という工夫で色弱者が迷わない配色が目立ちました。
小さなことですがユニバーサルデザインを考える上では、ごみを捨てる行為ひとつに誰もストレスを感じない社会の実現が、理想と言えるでしょう。

・ユニバーサルデザインの配色⑦非常口

緊急時、平等に正確な情報を伝える必要性があるのが非常口です。
点灯時の見え方はハッキリとわかりやすく、誰もが非常口だと認識できる配色でデザインされています。

・ユニバーサルデザインの配色⑧ユニバーサルカラーデザインのチョーク

出典:楽天市場

学校での色覚検査の廃止から生れたユニバーサルカラーデザインのチョークです。
多様性を認める観点から色覚検査が実施されないことで、子どもたちの色覚障害が発覚しにくくなり、黒板の文字が読みにくい児童の把握ができなくなりました。
「ダストレスeyeチョーク」は、黒板に書いた文字が色覚に障害のある生徒にも見えやすいよう、黒板の黒や緑とのコントラストが工夫されたチョークです。
板書が見えにくいことは子どもの学習意欲にも直結するため、黒板に映える文字が書けるチョークが全ての教育現場に採用されるのが理想といえます。

・ユニバーサルデザインの配色⑧カレンダー

細い明朝体で書かれた文字は、平日の黒と休日の赤の判別がつきにくい場合があります。
字体を太いゴシックに変える、もしくは赤ベースから数字を白抜きするなどの工夫が必要です。
カレンダーなど、日常の何気ないものが見えづらいことはとても不便な生活ですね。

周りが感じていない不便を、自分だけが主張するのはとても勇気がいります。
ユニバーサルデザインを意識する場合、普段のアイテム選びにも心遣いが必要です。

 

・ユニバーサルデザインの配色⑨路線図や地図

この写真の路線図は、ユニバーサルカラーデザインの強調を意味するオレンジとブルーが使われています。
赤で表示されがちな強調したい部分をオレンジで表示し、多くの人がわかりやすい配色の路線図です。

ユニバーサルカラーデザインを取り入れてより寛容な社会に

ユニバーサルデザインの配色についてご紹介しました。
見た目には気づきにくい、人による特性を理解して尊重することで、多様性を受け入れる優しい世界になります。
皆が目にする機会のあるものに、ユニバーサルカラーデザインを取り入れて、より寛容な社会を目指してみませんか?

あなたへのおすすめ記事