ノルウェーの家具ブランド10選!知られざるノルウェーデザインに迫る

by ryo.animal

デザイン大国北欧において、いまいち地味な存在であるノルウェー。「北欧デザインの負け犬」とさえ呼ばれてしまうこともあります。しかし決してノルウェーデザインが他の北欧諸国と比べて劣っているわけではないのです。

今回は知られざるノルウェーデザインを牽引する、「ノルウェーの家具ブランド」を紹介します!

 

●なぜノルウェーデザインは他の北欧諸国に比べて目立たないのか?

山が多くフィヨルド地形で閉ざされ、孤立しがちな地形のノルウェー。そんな厳しい自然の中で生まれたデザインは、他の北欧諸国と比べて力強く、色彩は暗めなものが多いのが特徴。全体としてシャープでかっこいい印象です。

そのように他の北欧諸国と比べて遜色なくすばらしいノルウェーデザインは、なぜかあまり世界に知られていません。その理由は主に3つあります。

理由1.ノルウェー人の国民性

ノルウェー人は目立つこと、人と違うことをすること、騒がしくすることを好みません。そんな控えめな国民性ゆえに、自国の素晴らしいデザインの宣伝やマーケティング技術が、他の北欧諸国よりも不得手だと言われています。ノルウェーデザインが目立たないのは「認知度の低さ」なのです。

理由2.原油国ノルウェー

ノルウェーでは1960年代に領海で北海油田が発見され、そのオイルマネーにより国内が潤いました。そのため、他の北欧諸国のようにデザインによる国益に頼らなくてもよくなったのです。そして「良質なデザインは海外から輸入すればいい」という考え方が主流になってしまいました。

理由3.ノルウェー人デザイナーの海外流出

ノルウェーでは原油の発見以来、他の北欧諸国のように国策としてデザインを打ち出してこなかったため、次第に家具デザインが下火になってきてしまいました。そのため、才能あるノルウェー人デザイナーは多くいるのに、ノルウェー国内の業界が現代のデザインの変化に対応できていないため、ほとんどが海外の企業で働くことになるのです。

 

ノルウェーの家具ブランド①:LK Hjelle

出典:楽天

エルコーヤラは1940年にラース・カールがシッキルヴェンという小さな村に建てた家具工場から始まりました。創業以来70年以上、ハンドクラフトによって家具製造を続けてきたノルウェーを代表する老舗家具ブランドです。その確かな技術によって数々のデザイン賞を受賞し、ノルウェー皇太子妃もご来臨されました。

エルコーヤラの一番有名な製品は、1965年にノルウェーの家具デザインの巨匠、イグマーレン・レリングがデザインしたラウンジチェア「シエスタ」です。翌年にはノルウェーデザイン賞を受賞し、一躍レリングの名前を世界に知らしめた名作チェアです。

木材を無駄にしないという「環境デザイン」の考えによってデザインされたシエスタは、高度な曲げ木技術によって作られています。余計な装飾をはぶき、木本来の美しさが堪能できるデザイン性の高さとともに、完璧な座り心地の良さも叶えました。

現在「シエスタ」はアルバート・ビクトリア博物館(ロンドン)、スミソニアン博物館(ニューヨーク)、ディ・ノイエ・ザムルング美術館(ミュンヘン)など世界中の美術館や博物館に収蔵され、その美術的価値の高さがうかがわれます。

 

ノルウェーの家具ブランド②:WESTNOFA


出典:inside-room

1950年代に創業したウェストノーファもノルウェーを代表する老舗家具ブランドです。その長い歴史のため、「ノルウェーのヴィンテージ家具」というと、必ずと言っていいほど名前があがります。

また、エルコーヤラとともにイグマーレン・レリングの「シエスタ」を販売するブランドとしても有名です。

その製品は、卓越したデザイナーと熟練した職人の共作による、木本来の素材感を活かした風格ある家具たちで、世界中に根強いファンがいます。

 

ノルウェーの家具ブランド③:ygg&lyng

出典:ygg&lyng

イグ&ライングは2009年に設立されたノルウェーの家具ブランドです。そのデザインはノルウェーの自然、歴史、伝統に触発されたナチュラル・モダンテイストで人気があります。

ノルウェー国内だけでなく、海外でもホテルやカフェなどのインテリアプロデュースを行っており、ノルウェーデザインの普及に一役かっているブランドです。

 

ノルウェーの家具ブランド④:SIMMONS Fjords


出典:SIMMONS

ベッドのマットレスで日本でも有名なシモンズ。実はノルウェーのメーカーなんです。最新のテクノロジーと人間工学に基づいて開発された「ポケットコイルマットレス」は世界中の有名ホテルで採用されるほど、確かな信頼が寄せられています。

近年では『シモンズフィヨルド』のブランド名で、その長年にわたるマットレスの技術を応用したソファを商品化し、話題になりました。特に”寝心地の良いソファ”というキャッチフレーズの「ポケット・プラス」はその名の通り、シモンズの世界最高峰のマットレス技術が応用され、世界中で人気を博しています。

 

 

ノルウェーの家具ブランド⑤:Fjordfiesta


出典:Fjordfiesta

フィヨルフィエスタは2004年に建築家のポール・ランダーによって設立されました。北欧デザイン文化の保存と開発を使命とし、新しい北欧デザインの代表になることを目指ざす、革新的な家具ブランドです。

その家具はノルウェーの美しい自然に触発された、モダンでありながらクラッシックも感じさせるタイムレスなデザイン。

アイコンアイテムはハンス・ブラットルゥが1957年にデザインしたイス「スカンジナビアジュニア」です。木のカーブが心地よく、自然に背筋が伸びる設計になっています。今ではノルウェーデザインを代表する名作チェアとして紹介されています。

 

ノルウェーの家具ブランド⑥:TONNING & STRYN

出典:TONNING & STRYN

トニング&ストリンは、ストリンで設立されたストリン・モベリンダストリーとトニング・モベルファブリクの2社が2013年に合併してできた家具ブランドです。

その家具は木目が美しく映えるデザインを特徴としています。木材には非常なこだわりを持ち、扱いにくい白樺やオークの加工に長けた職人によって、ハンドクラフトで作られています。

主にダイニングテーブルやチェストなど大型家具を取り扱っており、そのクラシックなデザインは多くのファンに愛されています。

また近年ではノルウェーの新鋭デザイナーとコラボし、時代を超えて使用できるモダンなモデルも開発されています。

 

ノルウェーの家具ブランド⑦:eikund

出典:eikuid

アイクンドはノルウェーの古典家具を再発売している家具ブランドです。ノルウェーの西海岸にあるアイゲロヤ島の古名、「アイクンド」からその名がつけられました。

現代でも通用する、ノルウェーの古典家具を世界に知らしめることによって、再びノルウェーデザインの発展を試みようとする革新的なブランドです。

 

ノルウェーの家具ブランド⑧:SUNDAYS

出典:VARKET INTERIOR

ノルウェーはヴァイキングでも知られる海運国です。もともと船舶用シートとクッションの製造会社に携わっていた創業者のGlenn Furuholtは、そこでの耐久性・耐候性に優れた製品を、アウトドアが大好きなノルウェー人の生活にいかせないかと考えるようになりました。

そこで工業デザイナー、アンドリュー・スミスとタッグを組み、画期的なガーデンファニチャーを製作したのがサンデイズの始まりです。

シンプルで質の高いガーデンファニチャーによって、サンデイズは瞬く間に注目を浴びました。現在ではノルウェーを代表するガーデン用家具のブランドです。

 

ノルウェーの家具ブランド⑨:Pur Norsk

出典:Pur Norsk

プル・ノシュクは、全ての商品がノルウェー人によってデザインされているという、めずらしいインテリアショップです。2006年に2人のノルウェー人カップル、マリアンネ・リーエンとアルテン・ハルヴォルセンによって設立されました。

店名の「Pur Norsk」とは「純粋なノルウェー」という意味で、「ノルウェーにも良いデザインはたくさんあるはず」という想いからつけられたそうです。商品によっては、スウェーデンやデンマークブランドもありますが、デザインはすべてノルウェー人によるものという強いこだわりを持っています。

2008年にはロンドンの雑誌『Monocle』の「世界で最もすばらしいデザインショップ」でベスト5にランクインしました。

ノルウェーに行ったらぜひ立ち寄ってみたい、ノルウェーデザインが集結した話題のインテリアショップです。

 

ノルウェーの家具ブランド⑩:NORWEGIAN ICONS

出典:pen

ノルウェイジャン・アイコンズは、認知度が低いとされているノルウェーデザインを世界に向けて発信するためにつくられたショールーム兼家具ショップです。ノルウェーの首都、オスロと東京に拠点を置くカフェ「FUGLEN(フグレン)」が運営しています。

フグレンはNew York Times紙で「世界で最高、飛行機に乗って試しに行く価値あり」と絶賛されたほどの人気カフェです。店内はノルウェーのヴィンテージデザインで整えられ、使用されている家具や小物は購入することもできます。

ノルウェイジャン・アイコンズは、認知度の低いノルウェーデザインの現状を危惧し、その認知を広げようとして「NORWEGIAN ICONS」という展示会を開催することから始まりました。

1940~1970年代のノルウェーデザイン黄金期の家具や小物を紹介し、多くの反響がありました。しかし、ヴィンテージ品は数も限られ高価であるため、多くの人々に認知される手段としては限界がありました。

そのため展示会の次のステップとして、ノルウェイヴィンテージの復刻版と、若手デザイナーの作品を取り扱うショップをオープンしました。現在ではノルウェーデザインの初期から現代までを網羅する、デザインアーカイブ兼ショップとして注目されています。

最後に

ノルウェーデザインは黄金期があったにもかかわらず、長い間人々にあまり認知されてきませんでした。しかし近年になって、今回紹介した家具ブランドやデザインユニットなどが中心となり、ノルウェーデザインを認知させようとするムーブメントが起こりつつあります。

他の北欧諸国に負けないすばらしいデザインの数々は、これから新たなリバイバルを迎えるかもしれません。自然豊かな国土と慎ましい国民性から生まれたノルウェーデザインは、私たち日本人の感性にもしっくりとくるデザインが多くあります。今後もノルウェーデザインに注目してみてください!

 

あなたへのおすすめ記事