2021年に控えた東京オリンピックに向けて、公共施設のアップデートが進められています。それに伴って「ユニバーサルデザイン」が今注目されているのをご存じですか?聞いたことがない人も多いであろうユニバーサルデザインですが、実は我々の生活に密に関わっているデザインなのです。
そこで今回は、ユニバーサルデザインについて解説します。どんなものがあるのか、バリアフリーとの違いはどこにあるのかをチェックしていきましょう。
ユニバーサルデザインとはどんなもの?
まずはユニバーサルデザインがどんなものなのかを見ていきましょう。
ユニバーサルデザインとは障害の有無だけでなく、言語や国籍、年齢や性別にかかわらずすべての人が使いやすいように考慮されたデザインのことです。そのため、今まで普通に過ごしてきた生活の至る所にユニバーサルデザインが使われています。
そんなユニバーサルデザインは7つの原則を元にデザインされています。
①どんな人でも公平に使うことができる
②自由度が高い
③操作が簡単
④わかりやすいデザイン
⑤安全
⑥体への負担が軽い
⑦十分なスペースの確保
これらをすべてクリアする必要はありませんが、満たしているほどより多くの人に使いやすくなるものです。この7つの中からいくつか組み合わせて使っているものは、より世界の人に優しいといえるでしょう。
ユニバーサルデザインとバリアフリーの違いは?
ユニバーサルデザインと聞くと、よく「バリアフリーのことでは?」と思いがちです。これらの言葉は似ているため、混同しがちですが発想が異なります。
ユニバーサルデザインは先ほどお伝えした通り、障害や国籍、性別や年齢と問わず使いやすさを重視したデザインのことです。
一方バリアフリーは、障害を持つ人や高齢者を対象に過ごしやすい配慮をしているもののこと。車いす用の施設や点字ブロックなどがその例です。
身近にあるユニバーサルデザインにはどんなものがある?
では、自分たちの身近にあるユニバーサルデザインには、一体どんなものがあるのでしょうか。ここでは、生活に密接に関わっているものを10個ご紹介します。
ユニバーサルデザインにはどんなものがある? ①シャンプーボトル
シャンプーのボトルには、コンディショナーなどほかのボトルと区別できるように側面にデコボコがつけられています。このデコボコを触ることでほかのボトルと区別がつけられるのうになるのです。
視覚障害がある人はもちろん、近視で普段は眼鏡をかけている人も助かりますね。同じような形状のボトルにはこのような工夫を凝らすことで、より生活がしやすくなる人が大勢いるでしょう。
ユニバーサルデザインにはどんなものがある? ②スロープ
スロープは今では街のいたるところで見かけますよね。車いすの人が階段を昇り降りするのに役立つほか、赤ちゃんを乗せたベビーカーや自転車など、老若男女問わず利用しています。
持って運ばなくてもそのまま動かせるため、手間がはぶけるのはユニバーサルデザインならではの魅力ですよね。
ユニバーサルデザインにはどんなものがある?③幅の広い改札口
電車で移動するときは改札口を通ります。このとき改札口が細いと車いすやベビーカーの人は、通ることができません。そのため、最近では広い改札口の駅が増えているのです。また、旅行者の大きい荷物なども通りやすいため、誰もが使いやすいでしょう。
ユニバーサルデザインにはどんなものがある? ④低い位置にボタンがある自動販売機
自動販売機の中には、商品ディスプレイの下のボタンのほかに、コイン投入口付近に番号ボタンがあるものがあります。これは、車いすに乗る人の高さでも購入できるように考えられたものです。
また、このような自動販売機にはコイン投入口に受け皿がつけられており、お金を入れやすい工夫もされています。車いすの人はもちろん、背の低い子どもにも重宝するでしょう。
そのほかにも、取り出し口が大きくなっていたり荷物を置けるテーブルがつけられていたりと、みんなが使いやすいデザインが詰まっています。
ユニバーサルデザインにはどんなものがある? ⑤標識
普段何気なく使っている標識ですが、これらのデザインにはユニバーサルデザインが採用されているのです。例えば「非常口」。緑色に光るデザインの中に走って逃げる人が描かれています。一目見て誰でもこっちに向かえば良いとわかりますね。
そのほかにも、女性用トイレ・男性用トイレや禁煙マークなど、普段目にするところでもたくさん標識が使われていますよ。
ユニバーサルデザインにはどんなものがある? ⑥牛乳パック
牛乳パックの開け口の上側にくぼみがついているのをご存じですか?これは、牛乳パックをほかのジュースなどの紙パックと間違えないようつけられたユニバーサルデザインなのです。
視覚障害がある人は持つだけで牛乳なのかジュースなのかがわかります。とくに牛乳はアレルギーを持つ人も多いので、間違って飲んでしまうと命に関わることも。それらを防ぐためにも、このユニバーサルデザインは役に立っているでしょう。
ユニバーサルデザインにはどんなものがある? ⑦自動ドア
自動ドアは開け閉めが難しい車いすや子どもはもちろん、両手がふさがっているときに重宝します。子どもを抱いているときや買い物帰りなど助かることも多い自動ドアも、ユニバーサルデザインのひとつなのです。
ユニバーサルデザインにはどんなものがある? ⑧多機能トイレ
多機能トイレは、広いスペースに車いすの人用のトイレが設置されているものです。中にはオムツ替えができるベビーシートなどもあり、誰でも使いやすい仕様になっています。センサーで扉を開け閉めできるものや、手すりに点字シートがあるものなど、至る所に優しさを感じられます。
ユニバーサルデザインのおかげで、たくさんの人が気持ちよく利用できるトイレといえるでしょう。
ユニバーサルデザインにはどんなものがある? ⑨音響付き信号機
歩行者用信号機は、先ほど紹介した標識のようにわかりやすいイラストで表示された信号機にプラス機能が搭載されています。それは青信号のときに音が鳴り、残り時間を表示してくれるものです。
視覚障害者は耳で音を聞いて横断歩道を渡ることができます。また残り時間が視覚的にわかるため、お年寄りや子どもなど横断に時間を要する人は目安にもなるでしょう。
みんなにやさしく安心して横断できるユニバーサルデザインです。
ユニバーサルデザインにはどんなものがある? ⑩文房具
文房具の中には、少しの力で紙が切れるはさみや、落としても針が手に刺さらない押しピン、めくりやすいノートなどユニバーサルデザインがたくさん採用されています。
はさみやカッターなど危ない刃物は、安全で簡単に使えるように、使いやすく収納もしやすいファイルなど、仕事や学校生活で役立つものばかり。普段の生活と密に関わる文房具だからこそ、すべての人にやさしいデザインなのは助かりますね。
ストレスなく仕事や勉強がはかどりそうです。
まとめ
ユニバーサルデザインは、普段意識していないだけで生活のいたるところにあります。バリアフリーとは異なり、子どもや健常者にも使いやすい工夫が施されているのが特徴。暮らしやすい街や道具は、今よりもっと生活を豊かにしてくれることでしょう。
ぜひ、日常に潜むユニバーサルデザインのものを探してみて、自分の生活に取り入れてみてくださいね。