車いす対応のユニバーサルデザインとは?バリアフリーとの違いとともに

by twistdesign

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座ったまま移動ができる車いすは、歩行が困難な人にとって大切な移動手段です。高齢化が進み、車いす利用者のニーズが多様化している昨今、歩行者も、車いすの人も、誰もが安全で快適に移動できる整備が必要とされています。現在、日本でもユニバーサルデザイン化が急速に進んでいて、車いすに乗った人にも使いやすいユニバーサルデザインが増えています。

【バリアフリーとユニバーサルデザインの違い】

最近「バリアフリー」や「ユニバーサルデザイン」という言葉を良く耳にします。しかし、その違いについては、あまり知らない方が多いのが現状です。実際どのような違いがあるのでしょうか?

●バリアフリー

「バリアフリー」は、障がいのある方やお年寄りなど、特定の人を対象に、後からバリア(障壁)をフリーにする(なくす)ことで快適に生活できるようにするという考え方です。もともとは建築用語で、道路や建築物の段差などを除去することを意味していましたが、現在では、物理的なバリア以外に、社会的や心理的なバリアの除去という意味でも用いられています。例えば、階段しかない出入口の横にスロープを設置したり、手で開けなければならない扉しかない場合、別に動ドアを設置したりすることは「バリアフリー」です。

●ユニバーサルデザイン

「ユニバーサルデザイン」とは、文化、言語、国籍、人種、年齢、性別、能力、障がいの有無などの違いにかかわらず、多くの人々が利用できることを目指した、製品、サービス、環境、建築、設備、情報を、はじめからデザインすることであり、またそれを実現するための過程です。例えば、自動ドア、ゆるやかなスロープ等、小さな子ども、お年寄り、車イスに乗っている人や両手に荷物を抱えた人など、多くの人が利用することができるように作られたものが、ユニバーサルデザインです。

●バリアフリーからユニバーサルデザインへ

「バリアフリー」の考え方は、主に障がい者や高齢者を対象にして、バリア(障壁)を除去することを目的としていることに対し、「ユニバーサルデザイン」は最初からバリアを作らないことを目指しているという違いがあります。近年は「作ってみたら不便だったので何かを取り付ける」のではなく、「初めから様々な人々の様々な可能性を考えて作る」という方向にシフトしていっています。

●ユニバーサルデザインの7原則

(1)だれにでも公平に利用できること。
(2)利用する上で柔軟性が高いこと。
(3)使い方が簡単で分かりやすいこと。
(4)必要な情報が理解しやすいこと。
(5)ちょっとしたミスが危険につながらないデザインであること。
(6)身体への負担が少なく、力がなくても楽に使用できること。
(7)誰にでも使える十分な広さと大きさがあること。

【車いす対応のユニバーサルデザイン】

私たちが生活の中で利用する、建築物、学校など、様々な物や場所にユニバーサルデザインを見ることができます。しかし、上記の「ユニバーサルデザインの7原則」を1つにすべて取り入れることは現実的に難しいため、7原則すべてではなく、いくつかが採用されているものがほとんどです。今回は、一般の人が使えて、かつ車いすにも対応しているユニバーサルデザインを見てみましょう。

【車いす対応のユニバーサルデザイン①】
歩道や公園出入り口の段差解消


出典:Pinterest

歩道や公園出入り口などの段差は、車いすを利用している人とっては、大きなハードルです。段差を解消することにより、車いすを使用している方はもちろん、ベビーカーや大型のキャリーバッグを持った人にとっても便利なうえ、自転車の方や歩行者などが安全に通行できる設計のユニバーサルデザインです。

【車いす対応のユニバーサルデザイン②】
多機能トイレ


出典:Pinterest

バリアフリートイレは車いす使用者のみが使えるものです。多機能トイレとは、車いす使用者だけでなく、高齢者・内部障がい者・子ども連れなどの多様な人が利用できる多目的トイレのことです。着替え、おむつ替え、幼児用の小便器を設置するなどによって、身体にハンディキャップのある人以外も利用できるように工夫したユニバーサルデザインのトイレです。車いす使用者に配慮した器具は、腰掛台、手すり等です。また、オストメイトの方(排泄障がいのため、人工肛門、人工膀胱を設けられた方)にも対応できるよう専用の汚物流しを設置しているトイレも徐々に増えてきているようです。

【車いす対応のユニバーサルデザイン③】
案内板


出典:Pinterest

駅、役所、公園などの公共施設や、観光名所などに設置されている案内板。昨今の案内板は、ユニバーサルデザインの考えに基づいた物が多くみられるようになってきました。車いすの方のためには、位置が低い案内板が設置されているところが増えてきています。他には、外国語の併記、音声案内や触知図、LEDパネルの併用など、視覚、聴覚、触覚への情報伝達手段を備え、誰もが利用しやすいユニバーサルデザインの誘導設備です。最近は、高齢者向けに大きな文字を採用したり、サインや周囲の明るさを保ったり、適切な色を組み合わせたりと、ユニバーサルデザイン性の幅がさらに広がっています。

【車いす対応のユニバーサルデザイン④】
階段とスロープ


出典:Pinterest

最近の建築はユニバーサルデザインが大変目立ちます。 建物やスペースを、誰でも移動しやすくすることは公正なことです。 公共空間を構築する際には、車椅子の人、視覚・聴覚に障害のある人などを考慮して、空間を快適に移動できるようにする必要があります。 特に階段は車椅子やベビーカーをお持ちの方の上り下りが困難なため、ユニバーサルデザインの採用が進んでいます。

【車いす対応のユニバーサルデザイン⑤】
自動販売機


出典:Pinterest

自動販売機にもいろいろなユニバーサルデザインの考え方が取り入れている物が出てきています。小銭の投入口が大きくなっていたり、商品の選択ボタンが高い位置だけでなく、車いすや小さなお子様向けに、低い位置の両方にあるものもあります。かがまずに楽な姿勢で商品を取り出すことができる位置に取出し口が付いていたり、商品や小物を置けるテーブルがある等すべての人が利用しやすいよう、工夫がされています。

JR東日本のエキナカに設置されている「アキュアパス」という自販機は、様々なイノベーション機能が付いていますが、なんとディスプレイ内に「低位置メニュー」を搭載したことで、高い位置にある商品パッケージを見上げることなく、手元の操作でドリンクの選択と支払いができるようになっているのです。車いすの方でも楽に手が届くユニバーサルデザインです。

【車いす対応のユニバーサルデザイン⑥】
幅の広い改札


出典:Pinterest

近年多くの駅では、改札機1つは幅の広いものが用意されています。改札が広ければ、車いすでも楽に通れる上、松葉杖、ベビーカーを利用している人や、大きな荷物を運んでいる旅行者まで、誰もが余裕を持って通過することができます。この広い改札のおかげで、誰もが誰かの通行の妨げにならずに、多くの人が駅を利用しやすいため、特に混んでいる駅やラッシュの時間にはとても便利なユニバーサルデザインです。

【車いす対応のユニバーサルデザイン⑦】
ノンステップバス


出典:Pinterest

床面を超低床構造にして乗降ステップをほとんど無くすことで、足を上げる負担を減らしたノンステップバス。高齢者や小さな子供でも乗り降りが簡単になります。間口も広いので、すべての人が乗り降りしやすいユニバーサルデザインです。さらに補助スロープを使えば、車いすでの乗降もスムーズです。全ての人に使いやすい「人にやさしいバス」として欧州各国では既に相当普及しており、日本でも急速に導入が進められています。

【車いす対応のユニバーサルデザイン⑧】
幅の広い歩道


出典:Pinterest

歩道の歩行空間の幅員が狭かったり、歩行空間が途切れていたりすると、車いすやベビーカーを使っている人などの通行に支障となります。誰もが安心して通行できるよう、駅、商店街、病院、福祉施設等の近辺の道路は、幅の広い歩道の設置や、自転車と歩行者を分離した歩道など、ユニバーサルデザインの歩行空間が増えてきています。道路と歩道の境界線として緑地帯が設けてあるところは、安心なうえに環境も素敵です。

【車いす対応のユニバーサルデザイン⑨】
自動ドア


出典:Pinterest

誰にでも簡単に使用できる自動ドアはユニバーサルデザインの代表例です。スーパーマーケット、デパート、マンションなどにも設置され、街を歩けば自動ドアが設置されている建物をどこにでも見かける時代となりました。ドアを開けることを困難とする車いすを利用している人だけでなく、身体に障がいを抱えた人、両手に荷物を持っている人や子どもを抱いている人など誰にでも便利です。日常にさりげなく行う動作が省略化されて、誰にとっても便利になった工夫で、まさに原則を全てかね揃えたユニバーサルデザインといえるでしょう。

【車いす対応のユニバーサルデザイン⑩】
電車内の優先座席、車いす、ベビーカー用優先スペース


出典:Pinterest

近郊形電車、通勤形電車では車端の一部に座席を設置せずに、そのスペースを車いす、ベビーカー用スペースにしています。「優先」の場合、車いすやベビーカーでの使用がなければ一般の人も使用が可能で、大きなキャリーバッグを持った人などにも便利です。しかし、日本で本格的に導入が開始されたのは1990年代に入ってからであり、「優先」スペースにも関わらず、一般の人が利用することを非難する声も多いため、通勤ラッシュ時や旅行客に向けて、もう少しユニバーサルな考え方が浸透するような方向にもっていく必要があると考えられます。海外で、早いうちから取り入れられている国では、自転車などを置いている人も多く、車いすやベビーカーの人が乗り込んできたら、すぐにスペースを開けるのが普通だそうです。

【おわりに】

近年は、公共施設でも、高さや幅等を、車いす使用者に配慮しているところが増えています。車いす使用者を単に特別扱いするのではなく、ユニバーサルデザインの考え方を元に、皆が快適に使える空間を考えて作りあげていく必要性がありますね。バリアを除去するのではなく、どのようにすれば初めから誰もが暮らしやすくできるのかを考えてみませんか?

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