プロダクトデザインとは?
家電製品、業務用製品、自動車、文房具や食器といった生活用品など、身の回りにある製品のデザインのことを指します。
プロダクトデザインは美しい・オシャレ・カッコイイなど見た目めの良さはもちろんですが、それと同時に使用者の立場になって考えた製品の使いやすさにも目を向け、機能や形状、素材などをどうするかプロダクトデザイナーを中心に、メーカーの商品企画者、設計担当者、技術者、営業担当者達が話し合い、試行錯誤して生み出されます。
インダストリアルデザインとの違いは?
インダストリアルデザインという言葉も耳にすることがありますが、プロダクトデザインとインダストリアルデザインでは何が違うのか、疑問を抱いている人もいるでしょう。インダストリアルデザインとは、工業部品、機械部品、医療機器など工業的な部品や機器のデザインのことを指します。それに比べてプロダクトデザインは工業的な部門も含め、その他生活用品・雑貨・電化製品など広範囲の生産品(プロダクト)のデザインのことを指しているのです。
では、実際プロダクトデザインの商品とはどの様な商品があるのか、ご紹介していきます。
プロダクトデザイン事例①:雑貨 お香
株式会社孔官堂 孔官堂香房「彩風」
出典:MOFUCO.
明治創業の老舗である孔官堂のお香を、若い女性をターゲットに開発した製品です。パッケージの可愛さはもちろんですが、もう一つの魅力はお香を初めて使うという人のために、香皿と香立てを別で購入しなくてもこの製品一つで賄えるというところです。缶の蓋が香皿になり、磁石になっている小さな香立てをくっつけて、お香を立てることができるようになっています。使い切った缶は小物入れとして使うこともできます。
歴史のあるお香の良さを生かし、現代風のデザインと使いやすさをプラスし、現代の若者にも受け入れられるようになった事例です。パッケージデザインは昔使われていたお香の巻紙を元にデザインされています。歴史を残しつつも、現代にマッチしたプロダクトデザインといえるでしょう。
プロダクトデザイン事例②:工具 スチールメジャー
大成建設株式会社 新潟精機株式会社 「スパイラルメジャー 」
出典:楽天市場
建設用の測量工具は大型であったり、小型でも重たい物が多く、持ち運びや扱いに不便を感じていたことから、小型で軽量、そして様々な用途で使えるようなメジャーを大成建設株式会社と新潟精機株式会社が共同で開発しました。
軽量化を考えてできたメジャーが、収納ケースを取り払った、今まで見たことのない軽くてスッキリとしたデザインのスチールメジャー。スライダー部分がスケルトンになっており、7色のカラフルな色の展開になっていて、見た目もオシャレ。また、目盛りは見やすい快段状(段差になっている目盛)を両面に採用されており、スライダーで伸長固定して使用するようになっています。マグネットで測定する物に取り付けることもできます。
軽量・小型化と利便性を追求したデザインによって、建設業だけでなく製造業や一般の工作などにも、子供から大人まで使いやすい製品へと生まれ変わりました。
プロダクトデザイン事例③:キッチン用品 おろし金
株式会社ツボエ 「ツボエの極上おろし金箱-hako-」
出典:楽天市場
無駄のないシンプルなデザインですが、おろし金、容器、水切りザル、シリコン蓋の4つのパーツで構成されており、親切な機能が詰まっています。
おろし金はツボエ独自開発のクワトロ刃でストレスなくスムーズにおろすことができ、口当たりがよくキメの細かいおろしになります。容器は傾斜がついておろしやすく、淵がカールしていないので汚れが溜まらずお手入れが楽になるようにデザインされています。水切りザルは容器の中にピッタリ収めることができ、ザルの底が水切れをよくするために厚底になっています。水切りができるため、素材本来のうまみが凝縮されたおろしが出来上がります。シリコン蓋はおろす時に容器の下に敷いて滑り止めとして使用でき、また食材を保存する蓋としても使用したり、収納時のカバーにもなります。
どんなキッチンにでも馴染むシンプルで美しいデザインであり、機能性と耐久性、手入れのしやすさを兼ね備えている製品となっています。
プロダクトデザイン事例④:自転車 電動アシスト自転車
パナソニック株式会社 「Jコンセプト」
出典:楽天市場
Jコンセプトは「大人の好奇心と上質なライフスタイルをアシストする自転車」をテーマに開発された自転車となっています。電動アシスト自転車は足腰が弱くなった高齢者の方が使用するイメージが強い面がありましたが、そのイメージを一新させ、年齢を超えてあらゆる世代の大人達が自転車で街乗りを楽しみたくなるような、街中にオシャレに溶け込むスタイリッシュなデザインを追求した電動アシスト自転車を目指しました。
ハンドル、ペダル、ランプなどのパーツにもこだわり、どのアングルから見ても美しく、インテリアのように飾っておきたくなるようなデザイン。パナソニックの電動自転車で最軽量であり、強度と乗りやすさを考慮した使用者に寄り添った設計。製品カラーも「日本の街に映えるカラー」を選び抜いたと言うこだわりようです。
プロダクトデザインによって、日本人が自転車を移動手段の道具として捉えがちな概念を取り払い、自転車に乗ることを楽しめるようなライフスタイルを提供する製品となっています。
プロダクトデザイン事例⑤:自動車 電気自動車
本田技研工業株式会社「Honda e(ホンダ イー)」
出典:pinterest
高度な機能が装備されているにも関わらず、親しみやすく愛着がわくようなフォルムのデザインによって、車が毎日ともにするパートナーのような存在に変わります。
運転席、助手席には5つのスクリーンが横一列に配置された見やすいワイドビジョンインストルメントパネルが広がり、これによって様々な設定やサービスがスムーズになり、人と車の新しいつながりが生まれます。室内はリビングルームをイメージし、落ち着いた色合いで、シートなどもソファーのような肌触りのよい布を使用しており、居心地のよい空間になっています。荷室も便利な装備が充実しており、車内にも多くの収納フォルダーやポケット、ボックスが配置されていて、運転手だけでなく、一緒に乗車する人も快適で利用しやすいよう設計されています。
現代の都会生活の中で求められるものを満たしたデザイン、常時インターネトに接続されたスムーズなサービスや設定、安全性や機能性に優れた快適な走行によって、今までにない価値を生み出しています。
プロダクトデザイン事例⑥:生活家電 ミシン
株式会社アックスヤマザキ「子育てにちょうどいいミシン」
出典:AXE YAMAZAKI
ミシンといえば、難しいし、収納に幅をとるし、しまい込んで出すのも面倒、気軽に買える値段でもない・・・という印象を持たれがちです。
「子育てにちょうどいいミシン」は、初めての人でもスマホで使い方と作り方をわかりやすくしたレシピ動画を見ながら簡単に操作できるようになっています。そして、幅をとらない本棚にしまえるぐらいのコンパクトなサイズで、コードレスでの使用も可能のため、いつでもどこでも使える手軽さを実現しました。また使わない時は押し入れにしまい込むのではなく、インテリアとして部屋に飾っておきたくなるようなデザインで「しまわないミシン」であるのが今までのミシンのイメージを変えました。価格のほうも初心者でも買いやすい価格になっています。
子育ての中で初めてミシンを使ってみようと思っている人に簡単でいつでもどこでも使え、しまわなくてもよい、まさに子育てママに優しい機能とデザインと価格がちょうどよいミシンですね。
プロダクトデザイン事例⑦:家具 テーブル
日本コパック株式会社 「ポップアップテーブル TX02」
出典:SHOP COPACK
おしゃれな店舗什器の専門店であるSHOP COPACK(ショップコパック)の「TX」シリーズ・ポップアップテーブルです。構造用ラーチ合板(別名針葉樹合板で、一般的には下地材として使用される)とスチール製の脚の組み合わせでできています。
機能的で、オシャレなデザインであるこのテーブルは展示会やポップアップショップ用のテーブルとしてはもちろん、一般家庭でもデザイン家具としての役目を果たしてくれます。工具なしで簡単に組み立てることができ、分解できるので持ち運びや保管がしやすいのが魅力です。また、テーブルの高さを4段階に変えることができるので、ディスプレイ用のハイテーブル・ローテーブルから食卓テーブル、ワークデスク、ベンチまで様々な用途で使用できるのもこのテーブルのこだわりの機能です。
デザイン性に優れ、多機能な要素をもったあらゆるシーンや用途で使える便利なテーブルです。
プロダクトデザイン事例⑧:社会基盤システム 自律分散型水循環システム
WOTA株式会社 「WOTA BOX」
出典:pinterest
自然災害が起きた時に衛生的な避難所生活を送るために必要になってくるのは「水」です。そんな避難生活の中、大勢のひとが簡単にシャワーを利用することを可能にしたのがWOTA株式会社が開発した「WOTA BOX」です。
WOTA BOXは「持ち運びができる水再生処理プラント」で、運搬性に優れ、誰でも簡単に設営(約15分)・使用することが出来る様にデザインされています。そして最先端のAI水処理技術によって生活排水を98%以上再利用することができます。つまり、通常2人が使用するシャワーの水量がWOTA BOXを使用すると100人がシャワーを使用することができるようになるというわけです。(シャワーを利用するにはWOTA BOXに屋外シャワーキットが必要になります)
WOTA BOXを通じてデザインとテクノロジーが災害時の避難生活を支える役割を果たしてくれます。
プロダクトデザイン事例⑨:医療機器 動作計測プラットフォーム
株式会社システムフレンド 「鑑AKIRA」
出典:まいぷれ
「鑑AKIRA」とはリハビリの効果を測定する医療機器です。病院でのリハビリで使用していたものですが、病院だけではなくフィットネスクラブなど病院以外での使用も取りいれていくため、そのような場所でも対応できるような洗練された雰囲気でありながら、使用する人が医療機器であると身構えて緊張することがなくリラックスして使えるようなデザインにチェンジしました。
鑑AKIRAの前に立てば、すぐに計測が開始され、動作計測をスムーズに行うことができるなどの使いやすい機能と、一般家庭のリビングに置かれているテレビなどのようなインテリア要素を取り入れた親しみやすいデザインで、医療現場以外でも人体の動作計測を必要とする様々な現場で活用できる機器へと生まれ変わりました。
プロダクトデザイン事例⑩:家族型ロボット
GROOVE X株式会社 「LOVOT(らぼっと)」
出典:pinterest
LOVOTは、愛(LOVE)を育む次世代の家庭型ロボットです。2つの球体を重ねたシンプルで誰からも愛されるフォルム、抱いた時に心地よい柔らかい肌、6層のレイヤーで構成される様々な表情を作り出す瞳、計算されたタイミングで見せる自然な動きなどは、人間の手助けをするのではなく、「家族」として存在し、いるだけで心が安らぐようにデザインされたロボットなのです。そして、ここでのテクノロジーも人にとっての便利さではなく、人に癒しを与えることを追求されています。
人にとって使い勝手がよく便利さを求めるデザインやテクノロジーだけなく、心を豊かにしてくれるようなデザインやテクノロジーもある、そんなことを教えてくれる事例です。
まとめ
プロダクトデザインの実例10製品をともに、プロダクトデザインについてご紹介させていただきました。
プロダクトデザインはデザイン性と機能性の両方がバランスのとれている製品を作ることを求められます。 機能的に優れているでけではなく、なぜデザインまでもが必要とされるのか・・・。デザインは人の心を豊かにしてくれる効果があります。デザイン1つで人に安心感を与えたり、活力を与えたり、幸福感を与えたりすることができます。使いやすく機能的であり、人の心を豊かにしてくれるモノこそが、今、人々の求める製品であるからです。