カラーユニバーサルデザインとは?色の組み合わせとそのポイントについて

by twistdesign

・カラーユニバーサルデザインって知っていますか?

突然ですが、ちょっとした質問です。みなさん普段の生活のなかで、「カラーユニバーサルデザイン」という単語を聞いたことがありますか?

「もちろん知ってます」という方もいるでしょうし、「ユニバーサルデザインの色バージョンでしょ」となんとなくわかっている方もいるでしょう。「ぜんぜん聞いたことない」という方も。

拙筆ながら説明させていただくと、カラーユニバーサルデザイン(略称CUD)は、色弱者などの色覚が通常と異なる人々のためにデザインされた製品やサービスのことを言います。

考えてみてください。信号機、トイレの鍵や男女別のマーク、充電器の灯りや警告灯、車のランプ、道路標識、参考書の重要部分における赤字表記。われわれの生活は普段、気がつかないほど無数の色による選別、メッセージに囲まれています。通常の色覚の持ち主ならば、それにより効率的に生活することができます(赤なら重要及び危険と経験的に察知して情報をうまく汲み取ることができます)。

しかし、世の中には、たとえば目や鼻の形が違うように、違った色覚を持った方もいます。ある情報によると、男性では20人いたら1人くらいはいるようです。その人たちにとって、たとえば信号機の赤、黄、緑、を区別することは非常に困難なことです。そんな人々とわたしたち両方がより暮らしやすい社会にするために、色彩の共通言語の開発のために、カラーユニバーサルデザインというコンセプトが生まれました。

以下、その色の組み合わせ方について軽く説明させていただき、そののちに実際にそれに即した形で製作された、カラーユニバーサルデザイン認定商品をいくつか紹介させていただきます。

 

 

 

 

・色彩配置のこつ

① 暖色と寒色を混ぜる

色覚が明確でない人々の特徴として、寒色同士間あるいは暖色同士間の区別が苦手である、ということがあります。

たとえばその人たち(以下示す例は、Ⅾ型:第2色弱の色彩感覚です)にとって、青と紫はほぼ青一色に見えますし、赤と緑という一見かけはなれた色であっても両方とも茶色っぽく見えてしまいます。オレンジと黄緑もほぼ同じ色になります。

ですから暖色のみまたは寒色のみで色分けしても、それはほとんど意味がありません。暖色と寒色を意図的に混ぜて、協調したい部分と他を区画できるようにしておくのがいいと思います。

 

② 色の明暗を利用する

たとえば、同じ暖色や寒色だとしても、明暗が変わればある程度知覚したときの雰囲気が変わります。

黄色と赤では、赤のほうが黒っぽい茶色になるのに対し、黄色はわりとライトな、いわば黄土色とでもいった色合いになったりします。

青と水色も、明らかに水色のほうが明るく、わたしたちの知覚と比べてほんの少し灰色に近い印象となるようです。青は逆に、少し黒っぽい印象になります。

このように色の明暗によっても、色彩の識別が相当に変化します。これもカラーユニバーサルデザインのひとつのこつとなるでしょう。

また色彩感覚の異なる方々も、わたしたちと同じように明るい色のほうが識別が簡単です。明暗のコントラストを使ったり、時として明るい色同士を使ったり、明るい色を基調にして配置したほうがいいでしょう。

実際は、場合にもよりますが、①と②を組み合わせて使うのがいいようです。そうすることによって、よりひとつひとつの色彩がはっきりと区別できるようになります。

 

③ 着色部分の面積を増やしたり、文字で実際に色彩を表示する

色の組み合わせではないのですが、着色部分が細かったり小さかったりすると、背景と同化しやすくなります。たとえば書面などでも文字を書いたりタイプする際に、色合いを変える協調部分はなるべく大きい文字で書きましょう。

また、たとえば申請書などにすでに〈みずいろ〉、〈ピンク〉のように文字で色彩を明示して、イメージを言語によって惹起している場合などもあります。

これらの方法は当たり前といえば当たり前ですがなかなか、色彩感覚が異なる人がいる、という事実を経験的に感じていなければ到達しない発想でもあります。日常の些細なことから、自分とは違う人のことを思いやる気持ち、それが大切なのでしょうね。

 

 

・実際にカラーユニバーサルデザイン(CUD)を用いたプロダクトたち

① 日本理化学 ダストレスeyeチョーク

出典:楽天市場

カラーユニバーサルデザイン(CUD)認証を、チョークとして初めて得た研究者のやさしさを感じるチョークです。色合いを見ていると、赤がほぼオレンジに近いですね。これにより、緑との区別が容易になるようです。

 

② ソフト99 ちょっと塗りペイント

出典:楽天市場

たとえば部屋の識別のためにペイントしたり、生活の些細なマーキングに使う筆付ペイントです。写真はブルー。カラーバリアフリーと書いてあるとおり、カラーユニバーサルデザインに特化したペイント。もちろんたくさんの色があるが、レッドとオレンジの組み合わせは識別しにくいためNGのよう。

 

③ ベスト 610-BP 打掛錠

出典:楽天市場

トイレなどに使う打掛錠。通常のように赤と青ではなく、施錠時には明るめのほぼオレンジといっていい朱色、そして解錠時にはまた明るい青色を用いたデザインになっています。

 

・共生というのは、想像力?

この世界にはじつにさまざまな人がいます。それぞれがそれぞれの感覚と感情と思考を持って生きています。わたしたちが想像もしないだけで、ほんとうに多様な感覚が存在し、気が付かずにその人たちの生活にストレスを与えているケースも珍しくありません。色彩感覚だけでなく、性的マイノリティ、心の病など、あるいはさらに論点を広げて少数民族や少数言語など、現代には多くの問題が山積しています。

カラーユニバーサルデザインは、それと向き合うひとつの例となるでしょう。個人的にキーワードは、〈想像力〉と〈共感〉だと思っています。要するに、深い愛情です。たとえ理解できなくとも、相手の立場になり、相手の人生をなんとか経験しようとする、人間的なやさしい感情です。上記の製品は、小さくとも、そのひとつの答えなのでしょう。

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