イタリア家具の特徴とは?10の事例とともに

by twistdesign

数々の世界遺産を保有するほどの長い歴史と、ファッションやデザインで時代の最先端をゆく、日本人が憧れる国、イタリア。そんなイタリアの家具も昔から多くの人々から愛され、20世紀中頃には「イタリアンモダン」という新しいスタイルが誕生してからは、日本のスタイルにも合わせやすいデザインの家具がイタリアの建築家やデザイナーによって生み出されるようになり、より人気を集めています。今回は、そんなイタリアの家具について事例とともにご紹介していきます。

 

イタリアの家具の特徴

イタリア人は古いものを捨てることなく修復して何十年も大切に使い続けるという習慣があります。家具に対しても同様です。職人によって作られた家具は修繕を加えながら愛着をもって大切に使い続けられ、世代を越えて受け継がれることもあります。そのため、家具を修繕する職人もいるほどです。そのような背景もあり、イタリアではアンティーク家具が多くの家庭に存在します。そして、そのイタリアのアンティーク家具は中世時代の重厚感あるデザインが贅沢な気分にさせてくれ、使えば使うほど味わいがでて魅力ある家具へとなるため、世界でも今日まで人気となっています。

いっぽうで、アンティーク家具は高価なものなので、なかなか新たに手に入れにくいことや、アンティークばかりではなく、モダンな家具を求める人も時代の流れの中で増えていき、20世紀中頃には、アンティーク家具にはない新しい素材や色使い、アンティークのようなデコラディブなデザインではなく、シンプルなデザインを求める「イタリアンモダン」というスタイルが誕生しました。

これにより、イタリアの家具には大きく「アンティーク」と「イタリアモダン」の2タイプに分けられることとなります。

<アンティーク家具>


出典:Home Park

18世紀ごろからの「ロココ様式」が主流となっている、イタリアの伝統的なデザイン。素材は木材、ガラス、大理石といった自然資材が主になります。緩やかな曲線美で、装飾が多く施されているため美しく、芸術品のようなのが特徴です。その為、置く場所や空間を選ぶ必要があります。

 

<イタリアンモダンの家具>


出典:AND COLLECTION

古くからの伝統を受け継いだイタリアの職人の技術を取り入れつつも、余計な装飾をなくし、洗練されたモダンでファッショナブルで機能的なところが特徴です。配色はモノトーンやビビットなどの単色使いが多く、重厚感があり、ハイセンスな印象を与え、世代を問わず受け入れやすいデザインが多いため、アンティークよりも置く場所や空間を選ばずにコーディネートすることができます。

近年のイタリアの家具の人気はイタリアンモダンの方へ傾きつつあるようです。アンティークにはアンティークの良さがあって素敵ですが、どんな場所にもコーディネートしやすいイタリアンモダンの方が現代のインテリア業界で需要があるということかもしれません。

 

イタリアの家具を選ぶ時に気をつけること

イタリアの家具はデザインへのこだわりが大きい傾向があります。その空間にとって家具がどのような存在になるか、どのような印象をもたらすのかを考えてデザインされるのもイタリアの職人のこだわりでもあります。その為、重厚感・存在感があり、空間がかっこよく引き締まるのですが、サイズがどうしても大きくなりがちなので、購入する際は置く空間にサイズがあうかどうかよく確認することが大切です。

 

イタリアの家具10の事例をご紹介

イタリア家具にはブランドが数多く存在しますが、ブランドにより様々な特徴があります。
今回はイタリア家具の事例を代表的なイタリア家具ブラドとともにご紹介していきます。

イタリアの家具10の事例①

著名な建築家やデザイナーが手がけた家具が揃うcassina(カッシーナ)


出典:Cassina-ixc.

1927年に設立されたイタリアの高級家具ブランドです。ル・コルビュジエなど有名な建築家やデザイナーが手がけたデザイン家具を販売しており、中にはニューヨーク近代美術館に所蔵されているものもあります。

ソファーはル・コルビュジエと従兄弟のピエール・ジャンヌレ、シャルロット・ペリアンが手がけたLCコレクション、最小の構成で最大限に快適な座り心地を追求したデザインです。ブックシェルフはシャルロット・ペリアンにより、日本の伝統的な「違い棚」にインスピレーションを受けデザインされました。個性的な印象ですが機能的でもあり、日本のリビングにもよく合うデザインです。

 

 

イタリアの家具10の事例②

アバンギャルドで個性的なデザインの家具 Cappellini (カッペリーニ)


出典:Pinerest

1946年に創立された、革新的で個性的な家具を多く展開してるイタリアの家具ブランド、カッペリーニ。見る者を楽しませてくれるような数々のデザインが揃っています。若手デザイナーの作品も積極的に発表しています。カッペリーニの家具はビビットな色使いも魅力のひとつです。

白い本棚「Cloud」はポリエチレン製の2つのモジュラーでできており、クリップでとめて固定しています。様々な組み合わせでフォルムを変化させることが可能です。きのこのような形のフロアランプ「BIG SHADOW」は存在感もバッチリです。ランプ全体が光りを放ち、温かく居心地のよい明かりを照らしてくれます。

 

 

イタリアの家具10の事例③

鮮やかな色と品質のよいイタリア家具 PAOLA LENTI(パオラ・レンティ)


出典:PAOLA LENTI

1994年にイタリアのミラノで誕生した、イタリア家具ブランドの中では比較的新しいブランド、パオラ・レンティ。豊かで鮮やかな色彩使いでオリジナリティに溢れたデザインでありながらも、上質な素材を使用し、品質や機能性にもこだわる商品の開発を行っているのが特徴です。

ソファーは 「Agio(アギオ)」シリーズのもので、ARCHIPRODUCT DESIGN AWARDS 2017を受賞しており、ADI Design Index 2018にも選ばれています。 背もたれが垂直方向と水平方向に角度を変えることができ、平坦にすることもできます。 カバーは取り外し可能となっています。また、使用されている生地もしっかりしており、実用的で摩擦にも強く作られています。

 

 

イタリアの家具10の事例④

美しく洗練されているイタリア家具 Cattelan(カッテラン)


出典:Cattelan italia

1979年に設立されたカッテランはイタリアのモダンファニチャーを代表するブランドとして、全国に100カ国以上で展開するイタリアの家具ブランドです。そのひとつひとつの家具が彫刻のように繊細で美しいのが特徴です。また、家具を置く場所によって、スタイルを変化させているところにも注目です。リビングに置く家具達はセンスのよいデザインに、キッチンの家具達は実用性を重視したシンプルなデザインに作られています。置く場所によって「美しさ」と「使い勝手の良さ」を使い分けされた、そこで暮らす人にやさしい家具であると言えます。

ベースに黒エンボス加工されたスチールとスチールのトップ、回転するビーズガラストップでできたコーヒーテーブル「Arena」、チタンでできた繊細で美しい曲線の天井ランプ「Heaven」、漆塗りのスチールでできた積み重ねたり並べたりできる「Latitude」などリビングにおかれる家具は、ハイセンスなデザインばかりですね。

 

 

イタリアの家具10の事例⑤

座り心地のよいソファーが注目のイタリア家具 Zanotta(ザノッタ)


出典:habituslibing

1954年にアウレリオ・ザノッタによって誕生した、ソファーを中心に手がけるイタリアの家具ブランドです。1968年にポリスチレンペレットを詰め込んだ自由自在に形を変化できるソファー「Sacco」を発表し、多くの注目を集め、人々に愛されてきました。現在はソファ以外にも個性的でおしゃれなチェアやベッド、テーブルや収納家具などの作成もするようになっています。

ソファーが「Hiro sofa」やファブリックアームチェア「SUSANNA」の細く伸びるスチールがアクセントになっていて素敵ですね。ソファーは宙に浮いているようにも見えます。バックのクッションが人間科学に基づいてサポートされており、快適な座り心地を提供してくれます。

 

 

イタリアの家具10の事例⑥

クラシカルモダンのイタリア家具 Meridiani(メリディアーニ)


出典:MERIDIANI

メディアーは1961年にイタリアのミラノで工房が誕生し、1996年にブランドが創設され、そこから一気に世界的に有名なブランドへと成長していきました。メリディアー二の家具は「クラッシックモダン」がテーマとなっており、椅子やテーブルをメインにモダンでスタイリッシュでいて、大人っぽく落ち着いた雰囲気の家具が特徴です。

部屋の真ん中に存在感たっぷりのテーブルは「Chaplin」で、洗練されたハイセンスな外観が素敵です。上部が円形や長方形、正方形などさまざまな形があります。テーブルの脚部分の金属部分もさまざまなバリエーションがあり、部屋の雰囲気に合わせてカスタマイズできます。チェアの「KITA」は全ての部分を同じ生地で張り合わせており、上品な印象を与えています。シートの部分が分厚くふっくらしていて、背もたれも体を背中をやさしく包み込んでくれるようなゆるやかなカーブが描かれています。

 

 

イタリアの家具10の事例⑦

歴史あるラグジュアリーなイタリア家具 Poltrona Frau(ポルトローナ・フラウ)


出典:Poltrona Frau

ポルトローナ・フラウは1912年に誕生し、王室御用達として使命を受けたり、フェラーリやマセラッティのラグジュアリーシートを請け負うなど、その他飛行機やホテルの内装までも手がけている、100年以上もの歴史のあるイタリアの家具ブランドです。最高級の革を使用し、デコラディブではなく洗練されたエレガントを印象付けるデザインが特徴です。全体的にどのシーンでも馴染みやすいデザインでもあるのですが、中にはホテルなどの高級感ある空間だけでなく、オフィスなどの家具としてもコーディネートできる上品でスタイリッシュな家具も揃っているのもポルトローナ・フラウの魅力といえるでしょう。

ソファーやチェアには歴史的なエレガントさを感じるフォルムのものもありますが、ここで紹介するようにスタイリッシュなフォルムの家具もどこか上品な雰囲気を感じさせるのはポルトローナ・フラウの家具の素晴らしいところです。円形と長方形のすっきりとしたシンプルなフォルムのデスク「Jobs Desk」ですが、存在感はたっぷりです。円形部分は取り外しも可能で、オフィスに合わせてサイズを選べるよう、様々なサイズ展開があります。天板には収納ユニットやケーブル配線が備わっているなど、機能性もすぐれたデスクです。

 

 

イタリアの家具10の事例⑧

ファッションブランドのイタリア家具 ARMANI CASA(アルマーニカーサ)

出典:TENDENCIAS HOGAR

2000年に誕生した、イタリアの有名なファッションブランド「アルマーニ」によるファニチャーライン。最小限の装飾と、「イタリアンモダン」をテーマにし、また、19世紀のフランス文化、東洋のテイストも問い入れているため、エキゾチックなカラーも家具の中に感じるものもあります。使い勝手がよいけれど、上品でいて退屈しない家具として評価されています。

シンプルでいて、ヘッドボードとそこに設置されているボルスタークッションの丸みあるデザインがアクセントになっている「BOTTICELLIベッド」。クッション部分の張り時はファブリックかレザーかを選ぶことができます。ベッドの両サイドのテーブルランプ「DONNA」のベースにはパネル部分にホワイトゴールドリーフかサテンナチュラルブラスの2タイプがえらべます。ベッドのファブリックやテーブルランプもどことなくエキゾチックなテイストになっています。特にテーブルランプのベース部分のデザインは「和」な雰囲気を感じますね。

 

 

イタリアの家具10の事例⑨

地域の産業に影響をうけているイタリア家具 Arketipo(アルケティポ)


出典:ARCHI TONIC

1980年に織物産業が盛んなフィレンツェで誕生したイタリア家具ブランドです。この土地の織物産業にアルケティポも影響を受け、家具に使用する生地の質感や色味にこだわりをみせているのがアルケティポの家具の特徴です。生地のカラーのバリエーションも豊富で、めずらしい色のものもあります。また、布製品だけでなく皮を扱った家具も素敵です。

ソファー「Auto-reverse」はクッションの生地がリバーシブルになっており、2種類の異なる生地を楽しむことができる、織物にこだわったアルケティポらしいデザインです。裏側にするとジッパー部分をあえてみせることで、また違った印象を与えてくれます。コーヒーテーブル「Petra 」はベース部分をオフセンターにすることによって、高さが違うコーヒーテーブルと重なり合うことができ、円形や長方形、正方形と形が異なる天板のテーブルと合わせることで、アートのようでユニークな空間が生まれます。

 

 

イタリアの家具10の事例⑩

新しいイタリアンインテリアの家具 De padova(デパドヴァ)


出典:DePadova

デパドヴァは1956年に輸入家具のショールムとして誕生しました。北欧やアメリカから家具やオブジェを輸入し、その今までイタリアにはなかった新しいテイストの家具やオブジェが当時のイタリアの上流階級の人々に支持され、イタリアのインテリアを大きく変えてるほどの影響を与えました。その後、北欧やアメリカのテイストを取り入れたイタリアの家具製品の開発も手がけるようになり、現在のイタリアの家具ブランドとして発展しました。 若手デザイナーを発掘、採用にも力を入れているため、常に最新の洗礼された家具を始め、インテリアを提供し、「イタリアモダン」をリードしています。

アールデコ建築のアパートメントに白を基調に木の素材を取り入れたり、木とブラックスチールの組み合わせなど北欧やアメリカのテイストが感じられるようなインテリアです。
「Raffles Sofa」はトラディショナルなデザインですが、「イタリアンモダン」のスタイルにもよく合い、座り心地も快適です。テーブル「Sen Indoor/Outdoor」はミラノでスタジオをもち、ポルトローナ・フラウのデザイナーでもある日本人「大城健作」によって手がけられました。テーブルの足の部分が細いステンレスを使用しているのも彼の作品でよくみられるものです。壁側の木製のキャビネットとの相性はバッチリですね。アールデコ建築にうまく現在のイタリアンモダンの家具をマッチさせています。

 

 

まとめ

イタリアの家具には100年以上もの歴史をもつブランドから新しく誕生した若いブランドまでが世界的にも有名なイタリアの家具ブランドとして数多く存在しています。古いものを修繕して大事に使うイタリア人だからこそ受け継がれてきた味わい深いアンティーク家具は、世界でも人気です。それとともに、古くから受け継がれてきたイタリアの家具職人の技術と精神は、より新しいものを作りだし、現代社会のニーズにあった最先端をいく「イタリアモダン」の家具へと進化もしています。

二つの異なるスタイルの家具が存在するイタリア家具、ロココ様式の伝統的な装飾と現代のミニマリズム、伝統と革新の間で今後イタリア家具はどのような発展をしていくのか注目すべきでしょう。

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