デンマーク家具の特徴を知っていますか?人気の秘密とは?

by twistdesign

【魅力的な国デンマーク】

デンマークは、国連が2012年から発表している「幸福度調査」で2013年、2014年、2016年に1位を獲得しています。その理由としては、学力、勤務時間の少なさ、そして仕事の労働生産性が、世界上位。消費税は25%と大変高いものの、医療費、学費が無料なうえ、年金制度もしっかりしています。その「世界一幸せな国」とも言われるデンマークでは昔から「ヒュッゲ」という言葉が大切にされています。「ヒュッゲ」とは、英語ですらも直訳できる単語がない独特なニュアンスがありますが、イメージとしては「幸福」や「心地よさ」を表す言葉です。昨今ではこの「ヒュッゲ」が欧米でも注目を集めており、日本でも雑誌やテレビ番組などで特集されるようになってきました。

【デンマーク人の家具へのこだわり】

デンマークでは 長く使い続けられたヴィンテージ家具のある家がとても多いです。デンマーク人は家具を選ぶのが上手で、選び抜いた家具を、愛着を持って長く使うのです。もし使わなくなることがあれば、子供たちに譲ったり、フリーマーケットで売ったりします。資源の少ないデンマークでは家具は使い捨てではなく、使い続けてシェアすることが一般的なのです。デンマークでは、家具を大切に長く使う社会の仕組みが定着しており「家具は我が家の財産」だと考えて購入している人がほとんどなのです。

【デンマーク家具の特徴と歴史】

歴史的に見て、デンマーク家具を代表するものは、1940年代から60年代の約30年という限られた期間にデザインされたものがほとんどです。デンマークでは1900年代以前はオリジナルと言える家具デザインは存在していませんでした。1900年代初頭から工業的な大量生産を前提としたバウハウスに影響を受け、それが独自の進化を遂げ、木材の材質を重視し、伝統的なクラフトマンシップを維持しながら、一般市民にも手が届きやすく使いやすい家具を作ることにいたりました。

【デンマーク家具の特徴と人気の秘密】

近年、北欧インテリア・家具・雑貨は人気の衰えを知りません。そして、日本で紹介される北欧家具で、代表的なものはデンマークのデザイナーによる家具が数多くあります。デンマークは、「ヒュッゲ」に則り、集中して質の高い仕事をした後は残業などせず、空いた時間は家族や友人と家で食事をしたり、ゆっくり一緒に過ごしたりします。そのため、そのようなライフスタイルを豊かにする為に、デンマーク人は家具や食器、日用品 デザインにとことんこだわるのです。そんなデンマークで作られてきた家具だからこそ、世界中の人々が魅力を感じているのです。

デンマーク家具の特徴と、それによる人気の秘密を紐解いてみましょう。

デンマーク家具の特徴と人気の秘密① 機能性の高さ

デンマーク家具製作で一番重視されていることは機能性です。十分な機能や性能を追い求めてから、美しさを追求します。重ねやすい形だったり、折りたたんでコンパクトにできたり、人の身体にフィットするフォルムを追求したりと、ユーザーにとって気持ちの良い家具であることへの強い信念が人気の秘密の一つでしょう。

Yチェア

出典:ピンタレスト

機能性の高さで特に人気が高いのが、デンマークの巨匠ハンス・J・ウェグナーがデザインした「Yチェア」です。1950年の発表以来、これまでに世界中で70万脚以上が出荷されていて、数多くあるウェグナーの椅子の中で最も売れたと言われる椅子です。ゆったりとした奥行きのある座面と背から肘まで緩やかに回り込むようなラインの肘掛けが特徴で、ダイニングでもくつろげるチェアとして愛され続けています。中国の明朝時代の椅子をヒントにデザインされ、細部を更に突き詰めることで誕生したチェアで、機械生産がしやすい形状のため、工業デザインとしても優れています。背板の合板がY字型なので、「Yチェア」と呼ばれています。

デンマーク家具の特徴と人気の秘密② 実用性の高さ

デンマークは大柄な人が多いにもかかわらず、家の面積はそれほど広くないため、効率的に空間を使う方法を想定して家具がつくられているそうです。そのように無駄を省いた実用的なデザインは、特に1950年前後のミッドセンチュリーの家具に多くみられます。現代まで、さまざまな時代のあらゆるニーズにも対応してきたこともデンマーク家具の人気の秘密でしょう。

アントチェア

出典:楽天市場

デンマーク家具で機能性が高いものの代表と言えば、世界で最も有名な北欧デザイナーと言っても過言ではないアルネ・ヤコブセンが、1951年にデンマークのノボノルディスク社の社員食堂用の椅子としてデザインした世界初の量産型椅子です。座面、背板を1枚の3次元成型合板という高度な技術で作られた椅子は、当時の木製家具の世界に新しい風を吹き込みました。そのフォルムが蟻を連想させることから、「アント(蟻)チェア」の愛称を持ち、日本ではアリンコチェアとも呼ばれています。

デンマーク家具の特徴と人気の秘密③ デザインのシンプルさ

デンマーク家具製作で一番重視されていることは機能性や実用性。十分な機能や性能を追い求めてから、美しさを追求します。だからと言ってデザインが手抜きであるわけではありません。デンマーク家具は北欧の中でも特にシンプルでモダンなものが多いです。良いものを長く使うデンマークでは、部屋のイメージを決定づける家具は、飽きのこないシンプルなデザインが好まれるのでしょう。シンプルな線や曲線で、模様は極めて少ない家具がほとんどです。また、デンマーク家具は、色使いのシンプルさもポイントで、多種類の色を使用しない傾向があり、1色または数色のみでシンプルにデザインされているものが多いです。全てにおいてシンプルに構成することが大きなポイントとなっています。空間を選ばずどんなインテリアにもしっくり馴染むシンプルなデザインのデンマーク家具は、世界的に人気がある理由の1つと言えるでしょう。

J39 シェーカーチェア

出典:ピンタレスト

デンマークで「庶民のデザイナー」として知られるボーエ・モーエンセンによる、素材を生かしたシンプルなデザインが特徴の「J39 シェーカーチェア」。モーエンセンは、人々の住宅事情や消費意識などに合わせた家具を追求し、一般庶民が購入できる価格でありながら、質の高い家具を創ることを使命としていました。「J39 シェーカーチェア」の背もたれには、大きく湾曲させた幅広の板を使い、すっきりしたデザインの上、生産性の高い椅子です。デンマークでは「庶民の椅子」と呼ばれ、現在でも国民的な椅子として親しまれています。

デンマーク家具の特徴と人気の秘密④ 木材

木の風合いを活かしたナチュラルで温かみのあるデザインもデンマーク家具の人気の秘密です。北欧家具の多くは高級木材として知られるチーク材が使われており、その美しい褐色の木肌と繊細な木目が、あたたかくやわらかな雰囲気を醸し出しています。また、資材が豊富だった時代に作られたデンマークのヴィンテージ家具にはまれにローズウッドやマホガニーのような、現在では伐採が規制され、なかなか手に入れることのできない高級素材が使われた家具があります。

イージーチェア No.45

出典:ピンタレスト

「家具の彫刻家」と称されるフィン・ユールによる「イージーチェア No.45」は、「世界で最も美しいアームを持つチェア」と呼ばれる傑作。フィン・ユールは、当時加工が非常に困難だったチーク材をデンマーク家具の主要木材として確立したと言われる人でもあります。

デンマーク家具の特徴と人気の秘密⑤ 木以外の素材

当時、木材に力がそそがれていた一方で、金属やプラスチックといった大量生産に向く素材も巧みに取り入れられていました。特に、木材以外の素材を好んで使っていたのは、金属製の家具を得意としたポール・ケアホルムと、デンマーク近代家具デザインの「異端児」ヴェルナー・パントンでした。ただ、両者がデザインした家具は、機能的でシンプルなものが多く、デンマーク家具の流れに沿っていることに変わりはありません。素材が高価すぎたり、北欧以外で手に入れることが難しかったりすることを考慮すると、木材以外の物がリプロダクト版として製作しやすく、手に入りやすいため、人気があるのも納得できます。

パントンチェア

出典:ピンタレスト

現在ではミッドセンチュリーデザインの象徴ともいわれるヴェルナー・パントンによる名作「パントンチェア」。 パントン自身の名を冠した「パントンチェア」の、 安く生産できるパリエステル樹脂の一体成型という画期的なアイデアと、可塑性の素材でなければ成しえない、流れるような究極のフォルムは、発表されるやいなや世界中で大絶賛を受けました。そして、その時代ごとに、最も優れた素材を用いるという彼のアイデアのもと、今でも新しい素材をもって生まれ変わり続けています。

【まとめ】

いかがでしたでしょうか?デンマーク家具の特徴と人気の秘密は、デ機能性、実用性、ザイン、素材の全てにおいてバランスが良く、長年使い続けることができることにありました。日本は大流行したものが、ブームが終わると忘れ去られてしまいがちな国ではありますが、北欧ブランドの人気は、単なる流行ではないようです。デンマーク家具は、大変価値のあるものですので、一過性のブームでは終わらず、長く定着するものになるのではないでしょうか?

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