食卓を彩る北欧食器

by twistdesign
北欧食器

自宅での食事、毎日だとマンネリ化してきませんか。メニューや味付けに変化をつけるのも大切ですが、食卓の重要な要素のひとつが「食器」ではないでしょうか。いつもと違う食器を使うだけで食卓がグレードアップした気分になるように、視覚や感触も食事をおいしく楽しむための要素です。中でも北欧ブランドの食器は使い心地、デザインともに優れていて大人気。今回は北欧食器ブランドのご紹介とデザイナーについてご紹介いたします。

●北欧食器のブランドとデザイナー

北欧の国々では冬が長く厳しいしため、室内で過ごす時間がどうしても長くなります。お家での居心地をよりよく、少しでも明るい気持ちで過ごすために工夫されたデザインが北欧ブランドの特徴です。シンプルで美しく機能性も兼ね備えた、長年使っても飽きのこないものばかり。ここでは、そんな北欧食器のブランドとデザイナーをご紹介します。これから北欧食器を買い揃えたい方はもちろん、もうすでにお持ちの方も、チェックしてみてください。

ARABIA(アラビア)

アラビアは1873年、スウェーデンのロールストランド社が、フィンランドのアラビア地区に設立した製陶所で、1916年に独立しました。北欧、モダンフィンランドデザインの先駆者として世界中の食卓で愛される食器です。

・ビルゲル・カイピアイネン Birger Kaipiainen (1915-1988)

アラビアの食器と言われて一番に思いつくデザインはフルーツや花のモチーフが華やかに描かれた「パラティッシュ」シリーズ。このシリーズをデザインしたのがカイピアイネンです。ヘルシンキ美術大学で陶芸を学んだカイピアイネンは、卒業と同時にその若き才能を見込まれ、アラビア社のアートデパートメントのメンバーとして活動を開始しました。何度も復刻製造され、カイピアイネンにとってもパラティッシュは、彼の名をデザイナーとして世に広めた出世作といえます。1969年にデザインされ、一時生産停止だれたものの1988年から再び生産が始まり現在まで人気を誇っています。

ARABIA(アラビア)

出典:アラビア

イッタラ (ittala )

イッタラは、1881年フィンランド南西部のイッタラという小さな村に建てられたガラス工房が始まりです。毎日の生活の中で使いやすいようにと、とてもシンプルな作りになっていますが、機能性も追求された製品が特徴的です。iittalaのガラス製品は無鉛でできており、人体にも環境にも無害で安心して使えます。北欧の洗練されたデザインを代表する食器ブランドです。

・アイノ・アアルト Aino Aalto(1894-1949)

現在発売されているイッタラ製品の中で最も長い歴史を誇る「アイの・アアルト・シリーズ」を生み出したのがアイノ・アアルトです。ヘルシンキ工科大学の建築学科に入学し、大学在学中に後に夫となるアルヴァ・アールトと出会っています。建築事務所に勤めながら、ガラス作品の製作に取り組み、1932年にアイノ・アアルトシリーズの最初の作品である「ボルゲブリック」を発表し、その後ミラノ・トリエンナーレ展で金賞を受賞し一躍有名になりました。リング状のデザインは水の波紋にインスピレーションを得たもので、様々な飲み物に対応する汎用性の高さ、積み重ねて収納できる実用性の高さを兼ね備えています。北欧らしい本質を大切にしたデザインは流行に左右されず、時代を超えて愛され続けている食器です。

アイノ・アアルト Aino Aalto

出典:イッタラ

・カイ・フランク Kaj Franck(1911ー1989)

カイ・フランクはフィンランドのデザイナー。1932年からヘルシンキの美術工芸大学で家具デザインを学び、 1938年にテキスタイルデザイナー、1945年にアラビア社のデザイナーとなり、1950年に同社のアートディレクターに就任しました。 陶磁器のデザイナーとして活動していましたが、1946年からイッタラ社、1950年からヌータヤルヴィ社(1988年にイッタラ社と合併)でガラス・デザインに携わりました。フィンランド農民の古い文化や工芸品を理想の手本としたシンプルな機能美は「フィンランドの良心」と呼ばれ、北欧らしいデザインは今も親しまれています。

フランクがデザインしたイッタラのタイムレスな食器シリーズ「ティーマ」と、シンプルで丈夫な「カルティオ」のグラスシリーズは、世代を超えて人気のあるロングセラーです。余分なものをそぎ落としたフォルムは、カイ・フランクが生んだ北欧のクラシックデザインです。

カイ・フランク Kaj Franck

出典:イッタラ

出典:イッタラ

ロールストランド(Rorstrand)

1726年にスウェーデン王室御用達窯として創立されたロールストランドは、スウェーデンでは最も古いブランドです。その歴史はヨーロッパでも2番目に古いのだとか。芸術性の高い食器デザインが長きにわたり多くの人から愛されています。

・マリアンヌ・ウェストマンMarianne Westman (1928-2017)

マリアンヌ・ウェストマンは銅の産地で知られたスウェーデン中部、ダーラナ地方のFalunで育ちました。1950年から71年まで、Rörstrand(ロールストランド)社でデザイナーとして多くのデザインを世に送り出しました。そのモチーフには彼女が育ったFalunの自然が影響しているとされています。彼女が1952年にデザインしたテーブルウェアのモナミ(Mon Amie)シリーズは青い花のパターンが特徴的で、ロールストランドのトレードマーク的な存在です。このジャンルの先駆者であるマリアンヌは、「スウェーデン磁器の母」として尊敬を集めています。

ロールストランド

出典:Mother Sweden

グスタフスベリ(Gustavsberg)

1825年にスウェーデンのストックホルムに設立された陶器メーカーで、芸術家のウィルヘルム・コーゲはじめスティグ・リンドベリ、リサ・ラーソンなどのデザイナーにより、個性豊かでミッドセンチュリーの象徴的なテーブルウエアを数多く生み出しています。
復刻版からヴィンテージまで幅広く愛されるており、現代のラインも当時の設備を活用しながらひとつひとつ手作りに近い製法で作られているので、大量に生産されるものとは異なりひとつひとつ表情の違う温かみのある製品に仕上がっています。

・スティグ・リンドベリ Stig Lindberg (1916-1982)

スティグ・リンドベリはミッドセンチュリーに活躍したスウェーデンを代表するデザイナーの一人です。1937年にグスタフスベリに入社後、当時活躍していたデザイナーの一人であるウィルヘルム・コーゲの元で修業を積み独創的な数々の名作を生み出しています。中でも、葉脈がくっきりと描かれた木の葉モチーフが印象的な「ベルサ」シリーズは、グスタフスベリのテーブルウエアを代表するシリーズとして今でも絶大な人気を誇っています。美術工芸品の愛好家の間では、1942年には既に名の知れた存在で、21世紀の現在も多くのコレクターの注目の的となっている。

グスタフスベリ

出典:グスタフスベリ

ロイヤルコペンハーゲン Royal Copenhagen

ロイヤルコペンハーゲンは、1775年にThe Royal Danish Porcelain Manufactoryとしてジュリアン・マリー皇太后の元に開窯し240年以上にわたる伝統を育んできました。。王室と深い関わりがあり、デンマークではもちろん、北欧を代表するブランドです。
熟練したペインターによって、白い磁器の上にハンドペイントされる美しいブルーの柄、ブルーフルーテッドは世界中で多くの人々に愛用されています。また、1908年から一枚も欠かすことなく続くイヤープレートは、冬の美しい風景や世界遺産など、多くのデンマークらしいモチーフをデザインに取り入れ、毎年制作されています。各商品のバックスタンプには王室御用達である証の王冠と、デンマークを囲む3つの主要な海峡が3本の波線でトレードマークとして描かれています。

ロイヤルコペンハーゲン

出典:ロイヤルコペンハーゲン

marimekko(マリメッコ)

マリメッコは、1951年、アルミ・ラティアにより設立された、独創的なプリントや色使いから世界中で愛されるフィンランドのデザインハウスです。独自のスタイルでファッション、バッグ、小物からホームデコレーションまでを展開する、ライフスタイルブランドとして世界中で人気です。時代に流されることのない、機能的でわかりやすいデザインで、大胆なプリントや色使いを通じて、元気や幸せを運んでくれるような作品が特徴的です。

・マイヤ・イソラ Maija Isola (1927-2001)

マリメッコといえば誰もが思い浮かべる「ウニッコ」の花柄。この柄を1964年にデザインしたのがマイヤ・イソラです。
1927年にヘルシンキから60キロほど離れたアロランミという美しい村に生まれました。自然豊かな村で2人の姉とのびのび遊んで過ごした幼少時代を経て、ヘルシンキへ上京し、芸術大学へ進学。母校のコンテストにファブリック作品を出品したところ、のちにマリメッコの創業者となるアルミ・ラティアの目に留まりマリメッコのデザイナーとして活躍するようになりました。
ウニッコシリーズはファブリックや雑貨はもちろん、食器でも展開されています。1つあるだけで食卓がパッと華やぐような存在感は唯一無二です。

マリメッコ

出典:マリメッコ

リサ・ラーソンLisa Larson(1931-)

リサ・ラーソンは1931年、スウェーデンのスモーランド地方・ハルルンダ生まれの陶芸家です。大学卒業後、スティグ・リンドベリからスカウトを受け、当時スウェーデン最大の陶芸製作会社であったグスタフスベリ社に入社。26年間の在籍中に動物シリーズをはじめとした約320種類の優れた作品を生み出し、スウェーデンを代表する陶芸デザイナーとして一躍人気を集めました。 1979年に退社後フリーデザイナーとして活躍した彼女は、1992年にKeramik Studion Gustavsberg社を設立。やさしくかわいいコケティッシュな動物や、素朴で温かみのある表情豊かなフィギュアには、本国スウェーデンや日本のみならず世界中で数多くのファンがいます。近年は作品の復刻の他に、アートピースや新作を発表するなど、現在も精力的に活動を続けています。有名な北欧の猫キャラクター「マイキー」は愛らしい表情とシルエットが人気で、日本ではマイキーなど動物をあしらった食器シリーズが展開されています。

リサ・ラーソン

出典: リサ・ラーソン・ジャパン

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