おすすめのミッドセンチュリー家具15選!その特徴と代表的なデザイナーも併せてご紹介!

by twistdesign
ミッドセンチュリー家具

●ミッドセンチュリーとは「世紀半ば」を意味する言葉

インテリアや家具、建築のカテゴライズをするときによく耳にする単語に、「ミッドセンチュリー」という言葉があります。

インテリアについては、「ミッドセンチュリー調の椅子」とか、「ミッドセンチュリーデザインの家具」というような使われ方がよくされていますね。

ミッドセンチュリーとは、世紀の半ば(1940~1960年代)を意味する言葉で、主にアメリカを中心としたインダストリアル(=産業)デザインを施された家具や、そのテイストを引き継ぐものを意味する呼び方です。

この時代のデザインは世界中にありますが、ここでは、文化発信の中心となったアメリカのミッドセンチュリー家具についてその人気の理由を探ってみましょう。

アメリカミッドセンチュリー家具の特徴

ミッドセンチュリー家具の特徴は、機能性、合理性を追求したデザインが多い点です。
それ以前は家具の加工技術がまだあまりなく、直線で成り立っているプロダクトがほとんどでしたが、ミッドセンチュリー家具は曲線を多用した近未来的な雰囲気のデザインが特徴となっています。
また、木製の家具が主流だったなかで、近代合理主義の象徴である成形合板やプラスチック素材を積極的に用いたことも新しい取り組みでした。

例えば、ミッドセンチュリー時代をけん引したアメリカのハーマンミラー社より販売されているシェルチェアを見てみましょう。

流線形のフォルムが美しいこの椅子は、ハーマンミラー社のデザインディレクターであるジョージ・ネルソンに見いだされた、チャールズ&レイ・イームズ夫妻の代表作。

彼らは、デザインの自由度の高さや、安価で量産できるというプラスチックの可能性を見出し、数えきれないほどの実験を重ねてこの作品を生み出しました。

もとは家具のデザインコンペのために製作されたシェルチェアですが、その後、革新的な大量生産品として製品化されると、北欧製の木の家具と比べてはるかに安価なデザイナーズ家具として瞬く間に人気を博します。
Herman Miller

出典:Herman Miller Store

プラスチックを一体成型する技術を用いることで実現した、独特の美しい曲線が特徴です。
豊かで自由な時代を象徴するようなポップなカラーバリエーション。

革新的で斬新なシェルチェアは、ミッドセンチュリー家具の特徴を表した代表する椅子です。

スッキリとしたフォルムは、どんなテーブルとでも合わせやすく、座面のカーブが体にぴったりとフィット。

白や黒など、落ち着いたカラーを選んでモダンな部屋に合わせたり、ポップなカラーを選んでお部屋のアクセントとして際立たせたりと、コーディネートしやすいのも魅力です。

ミッドセンチュリー家具は個性的なスタイルでありながら、どんなインテリアにも違和感なくレイアウトできます。

アメリカで生まれた背景

いまも多くのファンを魅了し続けるミッドセンチュリーデザイン。
家具デザインの黄金期と表現されるこのスタイルは、どんな時代背景で生まれたのでしょうか。

1945年、第二次世界大戦が終わります。

世界中の国々に絶大なダメージをもたらした戦争ですが、本土が他国から直接攻撃されなかったアメリカは、戦後すぐに勢いを回復していきました。
豊富な資源と軍事技術、機械施設を持った戦勝国として、戦争で疲弊したヨーロッパに代わり、経済成長を遂げていきます。

戦争から帰還したアメリカ軍兵士は、家庭を持ち、住宅や家具のニーズが急速に高まりました。ベビーブームも到来し、社会全体が未来への希望に満ちた空気感で満たされていったのです。

戦争中に軍需産業が生み出した大量生産の技術が確立し、強い生産力を持っていたアメリカは、これらのニーズを満たすことができました。
生産増加によるコスト削減も実現して、アメリカは世界の需要を一手に引き受ける産業の中心として台頭したのです。

そして、豊かな消費時代に、消費者はデザイン性を求めるようになります。
ジョージ・ネルソンやチャールズ&レイ・イームズ、エーロ・サーリネンなどのデザイナーたちが登場したのもこの頃で、成形合板やプラスチック素材を使った素晴らしいプロダクトを次々に発表していきます。

かつて影響力をもっていたドイツのバウハウスというデザイン教育機関がヒトラーによって弾圧され、造形や芸術のスペシャリストであるバウハウスの関係者がアメリカに亡命していたことも、デザインの普及を後押ししました。

アメリカのミッドセンチュリーデザインは、第二次世界大戦後の生産と需要の好循環や生産技術の躍進を背景に、戦後のアメリカをモダンにしたいという人々の想いが形になったもの。
当時は最先端の流行でしたが、現在では古きよき時代のカルチャーとして、多くの人に親しまれ続けています。

ミッドセンチュリーの中心はアメリカですが、広義には、同年代に生まれたアメリカ以外のデザインも含まれます。
戦争後、技術や文化が花開き、日本を含め世界中に優れたミッドセンチュリー家具が生まれました。
ヨーロピアンミッドセンチュリーや、ジャパニーズミッドセンチュリーなどと呼ばれ、それぞれの背景や特徴があります。
北欧デザイナーの活躍も目覚ましく、北欧スカンジナビアンミッドセンチュリー、北欧モダンなどと表現され、デザイン史に残る潮流として広く知られています。

日本でミッドセンチュリー家具が広まったのは、雑誌やムックで紹介され始めた90年代頃。
ビンテージ古着と裏原宿が流行し、インテリアブームのなかイームズのチェアが爆発的な人気となりました。

開放的で遊び心のある新素材の家具は、いつか買いたい憧れの家具として多くの若者を魅了したのです。

●ミッドセンチュリーを代表するアメリカの家具デザイナー

ジョージ・ネルソン

著名な家具デザイナーを抱え、ミッドセンチュリー期を代表するアメリカの家具メーカーとなったハーマンミラー社。
そのデザインディレクターとして活躍したのがジョージ・ネルソンです。

ココナッツチェアやマシュマロソファといった遊び心のある有名プロダクトを生み出したデザイナーとしてだけではなく、ハーマンミラー社を世界的家具メーカーとして成長させたプロデューサーとしても手腕を発揮しました。

同社のロゴやカタログのグラフィックデザインも手掛けています。
当時無名だったチャールズ・イームズ、レイ・イームズ夫妻、イサム・ノグチ、エーロ・サーリネンらの才能を見出し、デザイナーとして迎え入れました。
アメリカミッドセンチュリーを代表する存在です。

チャールズ&レイ・イームズ

家具、おもちゃ、建築、映画、グラフィックと、さまざまなデザインを手がけたチャールズ&レイ・イームズ夫妻。
60~70年代のモダンデザインのパイオニアとして活躍しました。

美術アカデミーの特別研究員と生徒として出会い、結婚後、デザイナー夫妻として革新的な家具の数々を世に送り出します。
徹底的に座り心地を追求したラウンジチェアは、ニューヨーク近代美術館(MoMA)やシカゴ美術館の永久収蔵品となりました。

日本では、1990年代後半に雑誌で取り上げられたことをきっかけに、イームズ夫妻がデザインしたシェルチェアが爆発的な人気に。

エーロ・サーリネン

ミッドセンチュリー期にアメリカで活躍したフィンランド人建築家、プロダクトデザイナー。
美術大学在学中にチャールズおよびレイ・イームズと知り合い、意気投合。

ともに新しい材料やプロセスを探求するなかで、成形合板の家具を開発しました。
家具では、チューリップチェアやウームチェアなどの曲線が際立った未来的なプロダクトをデザイン。

また、建築家としても多くの作品を残しています。
代表作は、ワシントン・ダレス国際空港、セントルイスのゲートウェイ・アーチ、ケネディ国際空港のTWAターミナル、ニューヨークのCBSビルディングなど。

次ページからはミッドセンチュリー家具のご紹介です。

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